弘前市立弘前図書館/おくゆかしき津軽の古典籍

通史編1(自然・原始)

新編弘前市史 通史編1(自然・原始)

第1章 津軽の自然

第三節 津軽平野南部の地形発達

一 平野南縁の地形

図20は平野南縁における水系と流路距離二キロメートル未満の小河川を省略した等高線を示している。南縁部の主要河川として、十和田湖外輪山を源とする浅瀬石川白神山地に隣接する大鰐山地を源とする平川があげられる。このほかに阿蘇ヶ岳などの山稜をもつ平賀丘陵からの小河川として、遠手(とうで)沢、浅井(あさい)川、嘉瀬(かせ)川、広船(ひろふね)川、唐竹川などが流れている。唐竹川を除く各河川は平野部で合流し引座(ひきざ)川として平川に合流する。唐竹川平野部平川の分流である六羽(ろっぱ)川と合流し、下流側で引座川に合流する。なお、浅瀬石川北方には十川が流れている。

図20 津軽平野南縁における水系と等高線図

 黒石市は浅瀬石川北岸に発達する開析された扇状地(9)上に位置し、また引座川北岸に舌状に張り出す扇状地上には尾上町が位置している。平賀町は平川引座川間のやや高度の低い扇状地性の低地に位置している。
 平野南縁の地形は、平川および浅瀬石川流域に発達した複合扇状地であって、尾上付近がその接合部にあたると考えられ、この付近を唐竹川などの小河川が流れている。複合扇状地の一方にあたる平川流域ではかなり開析が進み、新しい扇状地性の低地が展開しているが、浅瀬石川流域ではその北側に扇状地が良好に展開し段丘状に発達している。
 次に、平野南縁の等高線の配置をみると、黒石市街地は浅瀬石川の河床から一〇~一五メートルの急崖で臨む台地上に位置している。たとえば、市街地の標高五〇メートルの等高線が浅瀬石川南岸にあっては約二キロメートルほど丘陵側に大きく湾曲し市街地の六五メートルの等高線付近に配置され、段丘状に発達した開析扇状地であることが理解できる。この扇状地は標高三〇~八〇メートルまでは等高線の間隔の狭い傾斜地であり、石名坂(いしなざか)付近を扇頂部とする半径約五キロメートルの弧状の配列を示している。もし浅瀬石川の下刻作用がなければ、尾上町の舌状台地の等高線にほぼ連続するものと思われる。一方、黒石市より下流側の常盤村付近では等高線の間隔が粗く緩傾斜面であって、扇状地性の低地あるいは氾濫原(はんらんげん)(10)として展開している。田舎館村は浅瀬石川の河床面あるいは背後の扇状地性低地から数メートルの高さをもつ微高地上にあって、等高線が下流側へ凸状に張り出していることから自然堤防と思われる。なお、田舎館村の垂柳(たれやなぎ)遺跡から検出された弥生時代水田跡扇状地性低地に立地している。
 図21は、等高線の配置およびボーリング資料をもとに作成した平野南縁の地形分類を示している。また図23には、黒石市街地から下流側の常盤村までのボーリング資料をもとにした東西方向の地質断面を、図24には尾上町、図25には平賀町の東西方向の地質断面を示した。また、図26には平野南縁の平賀町~尾上町~黒石市の南北方向の地質断面を示した。いずれの地質断面もボーリング地点の高度と深さは資料に基づいて示したが、各ボーリング地点の距離は任意の間隔で示している。この地域の地形区分を上位から花巻面黒石面平賀面常盤面、そして田舎館面の五面に区分し、各面の地形的な特徴および地下の構成物について、以下に記述する。

図21 津軽平野南部における地形分類