弘前市立弘前図書館/おくゆかしき津軽の古典籍

通史編1(自然・原始)

新編弘前市史 通史編1(自然・原始)

第1章 津軽の自然

第二節 岩木火山発達史

四 岩木火山発達史

岩木火山麓および周辺における地形分類についてはすでにその構成物を重視して述べた。ここでは岩木火山起源の噴出物をまとめた層序(表1)と、赤倉沢の地質断面(図10)および蔵助沢の地質断面(図11・百沢土石流災害調査団、一九七九)などをもとにしてその発達史を述べることにする。

図10 赤倉沢における地質断面図


図11 蔵助沢における地質断面図(百沢土石流災害調査団,1979から転載)

 まず、従前の代表的な見解を二~三紹介したい。大沢(一九六二)は次の三期に区分して形成史を編んでいる。
〔第一期〕安山岩質溶岩を挟む凝灰角岩からなる古期成層火山が形成され、岩木火山体の最下部を占める。

〔第二期〕古期成層火山を覆う新期成層火山が形成される。安山岩質溶岩を主とし、岩木火山の本体を構成するもので、頂上部から中腹にかけて分布する。その後、新期成層火山体の山頂部で崩壊・陥没が起こり、円形火口ができ外輪山が形成される。また、鍋森山笹森山などの寄生火山(9)も誕生する。

〔第三期〕岩木火山の山頂において石英安山岩からなる中央火口丘である御倉石火口丘とドーム状の岩木山(狭義)が形成される。岩木火山体の誕生後に、末期的活動として水蒸気爆発が相次ぎ山腹に爆裂火口が形成される。

 鈴木(一九七二)は、大沢(一九六二)の「新期および古期成層火山」を新期岩木火山とし、それ以前の火山活動古岩木火山によるものとし、次のような見解を示している。
〔第一期〕古岩木火山
現火山体を中心とするやや大型の古岩木火山が存在していたと推定する。湯ノ沢断層に代表される、半径約六キロメートルの環状断層群の形成にともなって、山体側が相対的に沈下する。

〔第二期〕新期岩木火山
古岩木火山体の荷重沈下にともなって生じた環状凹地内で新期岩木火山が活動する。火山体の形成末期に笹森山などの寄生火山が生じ、また東半麓には火山麓扇状地が展開する。

 また、塩原・岩木山団研(一九八〇)は次の三期に分けた噴火活動を示している。
〔第一期〕高野安山岩、兼平石(かねひらいし)産出地や十面沢小丘群など、先岩木火山の活動として現岩木火山周辺において噴火する。

〔第二期〕引き続き、古岩木火山噴火活動を開始する。標高約一〇〇〇メートル付近に直径一〇〇〇~一五〇〇メートルの火口をもつ火山体を形成する。

〔第三期〕古岩木火山の火口を覆う形で新岩木火山が噴火する。末期活動として、中央火口丘を含む頂上周辺の山体を形成する。