北広島市/デジタル郷土資料

郷土の大型紙芝居

郷土かみしばい


 
1

 仲良し三人組は、今日も学校の帰り道、遊びの相談です。
「おい、今度の日曜日どっか行かねえか!」
「どっかって?」
「たとえば・・・北広島で一番面白いところとか、一番新しいところとか、一番高いところとか・・・」
「ぼく、一番高いところがいい!」
「一番高いところって・・・山・・・山か!」
仲良し三人は、北広島で一番見晴らしのいい竹山に行くことにしました。

 
 
2

 そして日曜日。
三人は地図を片手に竹山に登っていきました。
三人はボール投げを始めました。はずれたボールを追いかけて行った一人が突然
「あっ、キツネ!」
と叫びました。
「おーい、みんな、ちょっと来いよ。」
「あっ、あっちに行くぞ!」

 
 
3

「ゲーッ。おい、見ろよ。お化けやしきじゃねえのか!」と、さけびました。
「エーッ。なんだい?このうち!」
「まさが、お化けやしきじゃないだろう。少し、小ちゃいもん。」
「もしかして、神社じゃないのか!?」
戸を開けてみました。
カラカラ、カラカラ
戸は簡単に開いた。
「ヒャー、なんだ!あれは・・・。あれ、あれ!」

 
 
4

目の前には・・・
両側にローソクが並んでいて、真ん中には「春日大社」と書かれた古い木の札がかかっており、その両側に、色鮮やかなダイダイ色の仁王様が立っている祭壇でした。
仁王様はあまり大きくありませんでしたが、うす暗い部屋の中で、色鮮やかな仁王様は浮き上がって、大きく見えたし、おまけに、左側の仁王様には、頭がなかったことが、いっそうぶきみに感じたのでした。

「おい、帰ろうよ・・・」
格子の戸を音がしないように、そうっと閉め、足音をしのばせて、逃げるように外に出た三人は、ギクッとして立ち止まりました。

 目の前にひろがる西の空が、夕焼けで真っ赤に染まり、たった今見てきた仁王様の色とそっくりだったのです。

 
 
5

 三人はそれからもずっと仁王様のことが気になっていました。
そんなある日、今もその神社を守っている長南鉄太郎(ちょうなんてつたろう)さんという九十才になるおじいさんがいることを知りました。
三人はおじいさんに会いに行くことにしました。
つぎの日曜日。
おじいさんは、神社の前でまっていてくれました。
「ねえ、おじいちゃん、この前来たときにキツネいたんだよ。昔もいたの?」
「きつねか・・・。いっぱいいたなー。畑を荒らしたり、悪さばっかりしよった、冬なんかたべものがないんじゃろうな。買物(かいもん)して帰ってくるとな、ずーっとうしろから、ついてきよった・・・」
「ぼくね、この神社、はじめお化け屋敷かと思った!」
「お化けやしきか…そう云わんでくれ!この神社は、わしらの神社じゃ。ずーっと、わしらをまもってくれたんじゃ・・・むかしは、ここもにぎやかだったんじゃが・・・」

 
 
6

 「ねえ、おじいちゃん。あの仁王様はどうしたの?」
「ああ、あれはな、この竹山に来たがっていた毘沙門天様を守って、一緒に来たんじゃと。わしが、六つ頃のことじゃった・・・白石に住んでいた斉木岩次郎さんという人が、わしのおじいさんをたずねてきてな。『うちにある毘沙門天様が外に出たい、外に出たいと言うんだが、この竹山においてもらえんかのうー。』と頼んじゃったんだと。斉木さんも、ここに来て見て、見晴らしはいいし、きっと毘沙門天様も気に入るだろうと思ったんじゃろうな!あんまり真剣に頼むもんで、わしのおじいさんが訳をきいてみたんじゃと。そしたらな!」

 
 
7

 「その人の云うのにわな、その年の前の年あたりから、変な夢を見て困っていたらしい。はじめは得体の知れないものに首をしめられたり、追いかけられて、しょっ中大声を出して飛び起きるもんで、家のもんも心配したそうだ。そのうちに、今度は何物かわからない怪物に押しつぶされて、ハッと目をさましたら、からだ中汗ビッショリで胸がドキドキしとったそうだ。そのうち、だんだん怪物の姿がはっきりしてきて、正体をあらわすようになったんじゃと。」

 
 
8

それが毘沙門天様だったんだと!
怪物が毘沙門天様だとわかったときは、それはそれはビックリしたらしい。
その毘沙門天さまが今度はしゃべるようになってきてな!
毎晩のように夢枕に立っては
「家の中はいやだ!そとにだしてほしい!」
と、しきりに云ったんじゃと。
辰の方角がいいといったと。
そこで、わしのおじいさんを思い出したらしい。
おじいさんは部落のみんなに相談してな・・・

 そして、毘沙門天様は竹山にやってきたんじゃと。

竹山のは15センチほどの小ちゃいもんだけどな、京都の鞍馬寺のは大きな男しゅうほどあるらしい。

毘沙門天様というのは、北の方をまもる神様じゃ。子どもがさずかる神さまともいわれているそうだ。

 
 
9

「ねえ、おじいちゃん!この竹山はとっても見晴らしのいいところだから、毘沙門天様も来たがったんだね。」
「ああ、そうじゃろな。竹山の神様と一緒に、ずっとわしらのことを守っていてくれたんじゃ。この高いところから、広島のうつりかわりを、ずっと見守りつづけているんだな。」

三人はもう一度あたりをみまわしました。
澄みきった秋晴れの中に、色とりどりの団地の家々。遠くには、長沼、手稲山、樽前山、恵庭岳の山々・・・

三人は何となく、毘沙門天様がこの竹山にきたがったのが、わかるようなきがしてきました。

おしまい