釧路市中央図書館/永久保秀二郎関連資料

永久保秀二郎日誌 下巻

編集後記

 平成七年釧路の高校教師を定年退職した永田秀郎氏が、翌八年新設の北海道教育大学釧路校の大学院に入学、明神(みょうじん)勲教授の指導でアイヌ教育史をその研究テーマとした。演習の教材だった釧路図書館所蔵の「永久保秀二郎日誌」(釧路市指定文化財)を研究の中心に据えて熟読、その価値の高さを強く認識した。そこには明治二十四年から大正十三年まで三十三年にわたり永久保翁が心血を注いだアイヌ教育のみならず、多方面にわたる事象について克明な記述があり、釧路地方郷土史の第一級資料としても、より広範囲に活用されてしかるべきものと考えるに至った。
 十三年旧知の元国語教師に声を掛け、六月から永田・髙井・吉田・村岡で「永久保日記を読む会」がスタート、後に若い大槻(現札幌)が加わり、週一回のペースでこれまで十年以上が経過した。
 会の基本的スタンスは、図書館の奥で殆ど日の目を見ることのない資料の宝庫に光を当て、後に続く研究者が利用しやすいように、日誌全文を出来る限り忠実に翻刻し、あわせて公刊の道を探るというものであった。
 作業は、原文のコピー・原稿用紙への書写・読み合わせ・パソコン打ち込み・読み合わせ確認・打ち込み修正という順を踏んだ。その間、市の関係諸機関に申し入れ、公刊の方途を模索したが、御多分にもれず厳しい財政状況という大きな壁が立ちはだかり目途が立たずにいた。しかも平成二十一年には、名実ともに本会の支柱だった永田代表の病没という悲運に見舞われたが、志半ばで逝ったその無念さに思いを馳せつつ、所期の目的達成のために作業を続けてきた。残念ながら会員の力不足から読み解けない箇所や読み違いもあるかと思うが、時を経てより正確なものになっていくことを期待している。
 原稿用紙にして三千枚になんなんとする厖大な作品ゆえ、個人レベルでの発刊はとても無理なので、CD化して関係諸団体や必要とする研究者に贈呈し、本会の活動にひと区切りつけようと話し合っていたところ、はからずもアイヌ文化振興・研究推進機構のご厚意により、二十三年度出版助成を受けられることになり、念願の発刊が現実のものとなったのは望外の喜びである。
 願わくはこの度の刊行が、アイヌ教育史研究の一層の前進、加えて郷土史研究の進展の一助になれば会員一同これに過ぎたる喜びはない。
 終始温かなご指導ご協力を戴いた藤田印刷㈱・緑鯨社柴田哲郎・村岡六郎・永久保秀二郎研究の先達中村一枝の諸氏に深甚なる謝意を表するとともに、本書の発刊を誰よりも心から待ち望んでいた故永田秀郎氏の霊前に捧げるものである。
 
   平成二十四年一月二十七日
          「永久保秀二郎日誌を読む会」
代表  髙井博司
会員 故永田秀郎 吉田幸弘 村岡冴子 大槻繭子