釧路市中央図書館/永久保秀二郎関連資料

永久保秀二郎日誌 上巻

永久保秀二郎日誌

明治三十二年己亥(山窓日誌)

五 月

【校事】
【溺死】払暁尾上三平、吉良呂吉外一名ト扁舟ニ乗リ鱈釣リニ往キシニ、忽チ怒濤ノ冒シ所ト為リ、漁舟顚覆共溺死ヲ遂ケ、今ニ其屍体漂着セズト。其父盲人ナレバ一人ノ愛児仮令魯鈍ナルモ之ニ由リ歩行シ居タルモノナレバ、特ニ悲傷泣涕天ニ呼ヒ地ニ哭セリト。聞テ共酸鼻ニ不堪。昨日マテ嘻々談笑且勉強ニ従ヒタル容体彷彿見ルカ如シ。実ニ人間ハ今日アルモ明日ノ存在ヲ知ラズ。吁嗟、浅間布モノ哉。午后ペイン女来校告クルニ前条ヲ以テシタルニ忽チ嗚咽声ヲ呑テ泣キ、本日授業ヲ休止セリトテ泣々去ル。同情ニ厚キ人ト謂フ可シ。あくとろ(五郎)来訪。函館土人学校ノ情況ヨリ教員金岩及妻ノ不能且懶怠ナル由噂シ去ル。