函館市 函館市地域史料アーカイブ

南茅部町史 下

第一七編 漁村の生活 第一章 言語 第一節 方言 南茅部の方言 

 ことばは生国(くに)の手形であるといわれる。生まれ育った郷里のことばは、生涯その人の手形として何らかの形で身について離れないことからいわれた譬えである。南茅部に和人が来住したのは、二、三百年も昔のことで、おもに東北・北陸地方の出身者が、松前や江差に漁業などの出稼ぎのため海峡を渡って来住して、昆布や鱈漁などを営みこの地方に定住するようになったのが、沿岸の町村のなりたちである。
 津軽や秋田からこの海岸に来た人たちは、津軽・秋田の方言で話し、南部出身者は南部方言で話す。北陸から来た人たちは、生国北陸の方言で話すという、それぞれの国の方言が入り混じってくらし三代、四代と培われて、この地方なりの一つの風俗・習慣が形成され、南茅部の生活言語、いわゆる方言ができたのである。
 二、三百年も前から蝦夷地に渡海して、早くから和人の住みついた海岸の各町村の方言を総称して「浜ことば」または「海岸方言」ともいわれている。南茅部の方言は、この「浜ことば」そのものである。石垣福雄著「日本語と北海道方言」に挙げられている道南海岸方言はそのまま南茅部町の方言にあてはまるものが多く、「北海道は日本各地の言語の実験室である」(石垣)といわれるとおりである。
 
北海道方言
海岸方言渡島半島方言道南方言
松前方言
道東・道北・オホーツク沿岸方言
(内陸方言と共通要素が多い)
内陸方言炭鉱地帯方言(海岸方言と共通要素が多い)
農村地帯方言
都市方言


海岸方言と内陸方言


海岸方言の地域差 (石垣福雄『北海道方言辞典』より)


理由の言い方
(国立国語研究所『日本語地図』(表現法編)を参考に作図)