函館市 函館市地域史料アーカイブ

南茅部町史 下

第七編 産業 第四章 商工業 第一節 商工業 大正・昭和初期の商業 

 商工業者等の名簿(昭和四七年調・商工会)に拠れば、明治末から大正・昭和の初め以来に創業している四〇年以上の経営歴をもつ地区別の商工業者は、次のとおりである。
 
地区    商店    経営年数
古部   古俣商店   五五年
木直   長谷川商店  五三   尾形商店  五九   吉村商店  四七
尾札部  荒木商店   六〇   田中商店  六五   遠山商店  五〇
     竹中商店   六三   三條商店  六〇   内見理容院 四五
     新岡ふとん店 四二   能戸水産  七〇
川汲   加我理髪店  五五   大崎薬店  四〇   森野商店  六八
     布川商店   六七   坂田呉服店 四五   吉野堂菊地商店六七
安浦   宮田商店   七〇   蛯谷商店  六〇
臼尻   奥製材店   四〇   天谷鉄工場 四二   東出商店   四二
     小川水産加工 五六   野村旅館  五五   魚住旅館   四〇
     小椋理髪店  四三   勝又商店  五〇
豊畸   二本柳旅館  四九   田中商店  七〇   大船下の湯  四〇
大船   浜谷商店   八七   藤浪商店  七〇   成田商店   五五
     成田商店   四〇
     高谷造船   四〇
双見   大塚商店   九五
     磯谷温泉旅館 四〇

遠山清治の行商の木箱

 竹中重蔵の記録に、大正一三年二月二六日、尾札部村商業組合が創設されたとある。
 臼尻は、昭和二年に臼尻商栄会(会長勝又喜代助 会員二〇名)を設立している。
 明治末から大正年間にかけて各地に中小企業のための信用組合が設立されている。
 明治三〇年に来住した竹中重蔵は、雑貨小売業を経営して成功し、乗合自動車を経営して沿岸運輸業の先駆者となった。重蔵は、牧畜・養狐業なども起こした事業家であった。(交通運輸・牧畜の項に詳述)
 尾札部のテ遠山商店の創始者遠山清治(明治二七生)は、その好例である。大正年間来住して臼尻に店をもち、のち、尾札部に店舗を移してからも行商に力を入れた。米・塩・煙草・新聞・教科書などの営業をして、昭和の初期に店の基礎を築き、小売店の基礎を築いた。
 臼尻は天然の船入澗があり、昭和初期に鰮の施網が盛んになると、多くの入稼ぎがあり賑わった。
 日用雑貨店のほかに、食堂や料理屋、旅館などが相次いで開業されたのもこの時代であり、来住者も多く戸口は急増した。