函館市/函館市地域史料アーカイブ

南茅部町史 上

第六編 漁業

第一章 郷土の漁業

第六節 漁具

明治初期の漁具漁法

 函館図書館所蔵の北海道漁業図絵の上巻の河野常吉の添え書きによれば、明治一二年、開拓使函館支庁が、独逸国伯林府で開催の漁業博覧会に出品のため作成したものである。各葉に「秋涛」または「秋涛画」と記している。
 掛員渡辺章三ほか二名と画工三名は管内三か所に派遣され海産物を採集し、漁業の状況を調査して、漁具・船法を描写したものである。渡辺章三は当時、東京の本庁から官業の鱈肝油製造所を開設のため出向し、臼尻に派遣されていた製造指導の官吏である。
 河野常吉によれば、このときの画家がこれを子孫に伝えるために写して残したものだと記している。三人の画家とは秋涛、朝春、そして日渉園ではなかったろうか。
 道立図書館の図譜は河野常吉の手許においたものである。函館図書館の図絵には、あと書きに河野常吉が親友岡田(健蔵)の主宰する函館図書館にこの書を寄贈するとき、次のような歌を添えている。
  いと広き青海原にえをかひて殖えゆく人のたべものにせよ
 いみじくも大切に後世にその史料を伝え、明治初期の北海道の漁業を誇示して余りあるものである。