函館市/函館市地域史料アーカイブ

南茅部町史 上

第六編 漁業

第一章 郷土の漁業

第三節 定置漁業

落(おと)し網(あみ)


鮪落網(臼尻村)

     (「北海道漁具調査」(定置漁具之部)第三節 マグロ落し網/北海道水産試験地・昭和一二年版)(原文は横書き)
調査年月日  昭和一〇年一月
調査地    茅部臼尻
経営者    小川幸一郎
漁期     初漁期五月上旬 終漁期八月下旬 盛漁期七~八月
漁場     弁天島東地先 沖出距離一七四五・三米(一一五二間)口前水深六一米(四〇尋) 底質砂 潮流方向は南方流(下げ潮)にして速度稍急なり
漁獲物    主漁獲物マグロ(大 小)俗名 クロシビ メヂ 重量 大マグロ最大約二二五廷(六〇貫) 最小約一一二・五廷(三〇貫) 普通一五〇~一八八廷(四〇~五〇貫) 小マグロ 最大約一一・三廷(三貫)最小約二・六~三廷(七〇〇~八〇〇匁) 普通三・八~七・五廷(一~二貫)
混獲物    マイカ
附記     一回の乗網高 最高一三〇〇尾 一漁期間の漁獲高昭和八年度約二〇〇〇尾(内大マグロニ五〇尾 小マグロ一七五〇尾) 昭和九年度大マグロ八一一尾 漁獲物は全部生売とす
漁船     起船(胴海船)長さ一二・一米(四〇尺) 幅二・四米(八尺) 深さ八四・八糎(二・八尺)二隻 乗組員 各一四~一五人 平常は以上二隻使用するも大漁の時は五~六隻使用し 一隻七~八人乗組とす 従業員 計平常二八~三〇人 大漁の時は三五~四八人とす
漁具     本網は両口片落し網にして尻スド付游びの敷網は魚群をして速かに魚捕り網に陥入せしむるため外登りの敷と同様の傾斜を保たしむるを特徴とす (又時としては尻スド外登り部にマグロの敷網(上スドと同じ)を附する事あり) 故に此部は浮子方をゲンゲ吊りとす 重要寸法 身網の長さ三二一・二米(二一二間) 上 尻スド立揚各二二・七米(一五間)口前幅一二一・八米(八〇間) 胴幅八三・三米(五五間)垣網総長六八一・八米(四五〇間)但し呑込み一六・七米(一一間)を含む。
 
(1)網之部
(A)魚捕網  立揚 敷網 側網 半立揚の四部より成る
 い 立揚   綿糸 二〇番手 二〇号 一〇節 五〇目掛 長さ二八米(一八間二・五尺)切り 縦目二四反合せ 縮結約外〇・三割 仕立上げ 網立ち二七・三米(一八間)幅 浮 沈子方供二二・七米(一五間)とし 中央より分ちて二車となす
 ろ 敷網   ㋑㋺より成る
  ㋑     綿糸 二〇番手 一五号 九・一糎(三寸)目 五〇目掛 長さ四五・五米(三〇間)切り 八反合せ及び同上網地一反の対角線切り三角網を図版の如く両側に縫合す 縮結外五割 仕立上げ 長さ三〇・三米(二〇間) 幅 奥二二・七米(一五間) 前三一・八米(二一間)とす
  ㋺     同上網地 一〇反合せ及び同上網地一反の対角線切り三角網を図版の如く両側に縫合す 縮結同上 仕立上げ 長さ 三〇・三米(二〇間) 幅 奥三一・八米(二一間) 前三九・四米(二六間)とす
 は 側網   同上綿糸 六・一糎(二寸)目 五〇目掛 長さ四五・五米(三〇間)切り 横目八反及び其下方に同上網地 九・一糎(三寸)目 三反 計一一反合せ 縮結外五割 仕立上げ 長さ三〇・三米(二〇間) 網立ち二七・三米(一八間) 二車 沖 陸同断
 に 半立揚  ㋩袖網及び㋥漏斗下網の二部より成る
  ㋩     同上網地 長さ 三〇米(一九間四尺)切り□縦目五反合せ縮結外一割 仕立上げ 網立ち二七・三米(一八間)幅一〇・六米(七間)とす 左右同断
  ㋥     同上網地 長さ 一二・七米(八間二尺)切り 縦目七反合せ 縮結外4割 仕立上げ 網立ち九・一米(六間) 幅二二・七米(一五間)中央より分ちて二車となす
(B)登り網    内登り網及び外登り網の二部より構成せらる
(B′)内登り網  敷網及び側網の二部より成る
 ほ 敷網   綿糸 二〇番手 一五号 九・一糎(三寸)目 五〇目掛 長さ二五・八米(一七間)切り 縦目四反合せ及び同上網地 一反半合せの対角線切り三角網を図版の如く両側に縫合す 縮結約外四割 仕立上げ 長さ一八・二米(一二間) 幅 奥一二・一米(八間) 前二二・七米(一五間)とす
 へ 側網   同上網地 横目四反合せ及び同上網地 二反の対角線切り三角網を図版の如く両側に縫合す 縮結約外四割 仕立上げ 長さ一八・二米(一二間) 網立ち 奥一二・一米(八間) 前一八・二米(一二間) 沖 陸同断
(B″)外登り網  敷網及び側網の二部より成る
 と 敷網   ㋭㋬網より成る
  ㋭     マニラトワイン 八・六瓦(二・三匁)付き 三〇糎(一尺)目 五〇目掛 長さ九八・五米(六五間)切り 縦目四反半を図版の如く奥二反半の所より対邊の隅に斜断し之を他の側に縫合す 縮結外三割 仕立上げ 長さ七五・八米(五〇間) 幅 奥二二・七米(一五間) 前八三・三米(五五間) 以上を横中央より分ちて二車となす
  ㋬     同上網地 長さ三一・五米(二〇間四尺)切り 一反の対角線切り三角網を図版の如く㋭網に縫合す 縮結外三割 仕立上げ 長さ二四・二米(一六間) 幅一〇・六米(七間)とす マトモ敷網との縫合せは一目毎に間結ひす
 ち 側網   ㋭網と同様網地 横目五反合せを図版の如く奥一反三三目 前五反として斜断す 縮結外三割 仕立上げ 長さ 七五・八米(五〇間) 網立ち 奥一八・二米(一二間) 前六〇・六米(四〇間)敷同様中央より分ちて二車となす
(C)胴網 マトモ網 尻スド付遊び及び障子網の三部より成る
(C′) マトモ網 敷網 側網の二部より成る
 り 敷網   マニラトワイン 八・六瓦(二・三匁)付き 七五・八糎(二・五)尺目 五〇目掛 長さ四五・五米(三〇間)切り 二反合せ 縮結外五割 仕立上げ 長さ 三〇・三米(二〇間) 幅六〇・六米(四〇間)とす 同上網四車より成る
 ぬ 側網   同上トワイン 三〇・三糎(一尺)目 五〇目掛 長さ四五・五米(三〇間)切り 横目五反合せ 縮結外五割 仕立上げ 長さ 浮子方三〇・三米(二〇間)網立ち六〇・六米(四〇間) 同上網四車より成る
(C″) 尻スド付遊び網  尻スド立揚 敷網 側網の三部より成る
 る 尻スドの立揚
        上スド立揚と同様網地 長さ一八・九米(一二間二・五尺)切り 縦目二四反合せ 縮結約外四割 仕立上げ 網立ち 一八・二米(一二間) 幅二二・七米(一五間)とし中央より分ちて二車となす
 を 敷網   外登り敷網とに同じ
 わ 側網   外登り側網ちに同じ
(C ‴) 障子網
 か 障子網  マニラトワイン 七五・八糎(二・五尺)目 五〇目掛 長さ 三四・九米(二二間二・五尺)切り 横目二反半合せ 縮結外五割 仕立上げ 長さ 浮子方二二・七米(一五間) 網立ち 六〇・六米(四〇間) 左右同断
(D)垣網  よたより成る
 よ 一脇   マニラトワイン 八・六瓦(二・三匁)付き 三〇・三糎(一尺)目 五〇目掛 長さ三九三・九米(二六〇間)切り 横目六反合せ 縮結外三割 仕立上げ 長さ浮子方三〇三米(二〇〇間) 網立ちは図版の如く 沖端より七五・八米(五〇間)毎に浮子方より三反目を一・五米(一間)宛短くす 即ち 沖端六〇・六米(四〇間) 陸端五四・五米(三七間) 沈子方は浮子方より一割延びとす
 た 二脇   藁繩(タコ繩) 径九粍(三分) 六〇・六糎(二尺)目 五〇目掛 縦目六反合せ 五車 長さ一脇付きより各車七〇・九米(四六間四尺) 次六八米(四五間二・五尺) 次六四・九米(四二間四・五尺) 次六〇・九米(四〇間一・五尺) 次五七・六米(三七間三・五尺)切り 縮結外三割 仕立上げ 網立ち 一脇付きより五四・五米(三六間) 五三米(三五間) 四五・九米(三三間) 四六・九米(三一間) 四三・九米(二九間) 長さ 一車七五・七米(五〇間) 計三七八・八米(二五〇間)とす
(E) 其他
 れ 縁網
  (ト)    マニラトワイン 三七・五瓦(一〇匁)付き 三〇・三糎(一尺)目 三目掛を横目に身網の浮子方全周へ附す (尻スド立揚を除く)
  (チ)    細アバ繩 六〇・六糎(二尺)目 五目掛 横目に垣網の浮子方に用ひ 藁繩(タコ繩) 径九粍(三分)六〇・六糎(二尺)目 一〇目掛を同上沈子方に附す
  (リ)    綿糸 二〇番手 二五号 一條にて魚捕り敷網㋑㋺網の縫合せ部に一目縁編きをなす
  (ヌ)    同上縁編きを同上側網二車の合せ部及び両側に附す
 そ 八百、筋繩、目通し糸 図版参照
 
(2)綱之部
(A)型綱及張り綱
 い 身網の型綱ワイヤーロープ 径一・八糎(六分)に中間繩にてセキ捲したるもの 長さ 沖 陸各三三三・三米(二二〇間) 両立揚各二二・七米(一五間) 計四條
 ろ 垣網の型綱 同上綱の一年古きもの 長さ 六八一・八米(四五〇間) 一條
 は 胴の渡し綱 マニラロープ 径二・四糎(八分) 長さ八三・三米(五五間) 一條
 に 障子の渡し綱 同上 径二・一糎(七分) 長さ 一〇〇米(六六間)一條
 ほ 同上開き綱 同上 長さ 六五・一米(四三間) 二條
 へ 登りの渡し綱(一文字) 同上 径三糎(一寸) 長さ 二二・七米(一五間) 一條
 と 漏斗先の渡し綱
        同上 径二・四糎(八分) 長さ 一二・一米(八間) 一條
 ち 内登りの開き綱
        同上 長さ 一五・一米(一〇間) 二條
(B) 碇綱
 り カモヰの上繋ぎ綱
        身綱型綱の延長 長さ 二二・七米(一五間) 四條
 ぬ 同上掛綱 マニラロープ 径二・四糎(八分) 長さ 三〇・三米(二〇間) 上繋ぎ綱一條に五條宛 計二〇條
 る 同上根綱 八番線針金 三本合せ 長さ 六〇・六米(四〇間) 計二〇條
 を 同上土俵綱
        藁綱 周二一・二糎(七寸) 長さ 一五・二米(一〇間) 根綱一條に二條宛 計四〇條
 わ 其他の掛綱
        マニラロープ 径二・四糎(八分) 長さ 三〇・三米(二〇間) 二條を蛙股とし(但し立揚両端は一條宛)図版の如く使用す 計七二條
 か 同上根綱 るに同じ計三八條
 よ 同上土俵綱
       をに同じ 計七六條
 に 胴網部のサカサ綱
        マニラロープ 径二・四糎(八分) 長さ 六〇・六米(四〇間)のものを胴綱部沖側に一五・二米(一〇間)間隔に各一條宛 計八條 同上ロープ 径三糎(一寸) 同長のもの各二條宛 障子綱陸側端に計四條用ふ
 れ 管綱   マニラロープ 径二・一糎(七分) 一條を垣綱沖端に三米(二間)間隔に附したるワカベを通し上端は浮標に取り 下端は土俵に縛す
 そ カギのハナ綱同上ロープ 二條を以て垣綱を挾み上端は前端より二二・七米(一五間)の箇處に附せしカギノハナダンブに取り 下端は土俵に結附す
 つ 垣網のサカサ綱
        同上ロープを図版の如くカギノハナダンブより一〇・六米(七間)間隔に一條宛用ひ 各綱の長さは 水深に應じ稍延長す
 ね 垣網建元の碇綱
        図版の如く二條の碇綱を用ひ各綱の掛綱 根綱及び土俵綱はカモヰの碇綱ぬるをに同じ
(C)浮子綱
 な 半立揚の浮子綱
        マニラロープ 径三糎(一寸) 長さ 一〇・六米(七間)のものを二條
 ら 内登り網の浮子綱
        同上 長さ一八・二米(一二間) 二條
 む 外登り網の浮子綱
        同上 長さ七五・八米(五〇間) 二條
 う 障子網の浮子綱
        同上 長さ二二・七米(一五間)のものを二條
(D)其他
 ゐ ゲンゲ (イ)(ロ)の二種より成る
 (イ)     マニラロープ 径一・一糎(三・五分) 長さ 六〇・六糎(二尺)切り 仕立上げ 三〇・三糎(一尺)を一・五米(一間)間隔に魚捕り網部 登り綱部及び障子網浮子方に用ふ
 (ロ)   太アバ繩 長さ二・三米(一間二・五尺)切り 仕立上げ 一・五米(一間)を一・五米(一間)間隔に胴網部及び垣網の浮子方に用ふ
 の 引立綱  マニラロープ 径二・一糎(七分) 長さ四二・四米(二八間)のものを半立揚漏斗下綱の両隅に各一條を径二・一糎(七分)の滑車を各一個宛附し之を通して用ふ
 
(3)浮子之部
 お 上、尻スド立揚の浮子
        硝子玉 径三六・四糎(一・二尺)を立揚の棚に九〇・九糎(三尺)間隔に一個宛附す
 く 魚捕り網、側網及半立揚の浮子
        椴松材 長さ一・八米(一間一尺) 径二四・二糎(八寸) 二つ穴のものを三〇・三糎(一尺)間隔に型綱に一個宛附す
 や 内登り網の浮子
        同上材 長さ一・八米(一間一尺) 径一八糎(六寸)二つ割を九〇・九糎(三尺)間隔に用ふ
 ま 外登り網の浮子 (ハ)(ニ)の二種を用ふ
 (ハ)     同上材 長さ一・八米(一間一尺) 径一八・二糎(六寸)の二つ穴を九〇・九糎(三尺)間隔に内登り付三七・九米(二五間)に一個宛附す
 (ニ)     硝子玉 径三六・四糎(一・二尺)を後半分に九一糎(三尺)間隔に一個宛附す
 け 障子網の浮子硝子玉 径三六・四糎(一・二尺)を九一糎(三尺)間隔に一個宛附す
 ふ 其他身網の浮子
        同上硝子玉を魚捕り網部以外の掛網根元ダンブ七・六米(五間)間に等間隔に四個宛及び各掛綱と根綱の接合部に二個宛附す
 こ 垣網の浮子 同上硝子玉をダンブ間サカサの両側に一個宛、其他に四個宛 計六個宛附す
 え カモヰのダンブ
        椴松材 長さ三・六米(二間二尺) 径四八・五糎(一・六尺) 二つ穴一個宛 計四個
 て 掛綱根元のダンブ
        同上材 長さ一・八米(一間一尺) 径三六・四糎(一・二尺) 二つ穴を各掛綱根元型綱に各一個宛
 あ 口前のダンブ同上材 四つ穴を両端に各一個宛 計二個 カモヰダンブと同一の三つ穴を中央十文字に一個同上材長さ一・八米(一間一尺) 径一八・二糎(六寸)のものを上記の中間に左右各二個を等間隔に附す 計四個
 さ 胴渡し綱並に障子開き綱のダンブ
        同上材 長さ一・八米(一間一尺) 径一二・一糎(四寸) 二つ穴を各個の中間に一個宛
 き 身網掛綱のダンブ
        硝子玉 径三六・三糎(一・二尺)のもの二個宛を各掛綱と根綱の連結部に附す
 ゆ 垣網のダンブ椴松材 長さ一・八米(一間一尺) 径二四・二糎(八寸) 二つ穴をサカサ中間に一個宛
 め 垣網建元のダンブ
        カモヰダンブと同一のものを一個
 
(4)沈子之部
 み 垣網の浮子 自然石 重量 三七・五瓩(一〇貫)のものを垣網口前下端に一個及び同上 四・五瓩(一・二貫)のものを垣綱沈子方に七・六米(五間)間隔に一個宛附す
 し 身網の土俵 砂入り叺 重量 二八一・三瓩(七五貫)のものを各土俵綱一條に対し五俵宛 同上土俵を胴綱部サカサ綱一條に一〇俵宛を用ふ
 ゑ 垣網の土俵 同上土俵を蛙股各一條に五俵宛及びサカサ綱前端の一條に同上五俵 其他のものには一〇俵宛附す
         更に管綱及びカギノハナ綱に両用として二〇俵を用ふ
                (北海道開発調査部経済調査室図書室 所蔵)