函館市/函館市地域史料アーカイブ

南茅部町史 上

第六編 漁業

第一章 郷土の漁業

第一節 昆布漁業

昭和二〇年以後の昆布漁業

 昭和三一年、川汲漁協は道水試の委託事業として垂直式コンブ養殖試験に取り組み成果をおさめた。昭和三六年、南茅部町は道のワカメ養殖委託事業をとりいれ、ノレン式と水平イカダ式を試みた。
 この年、各漁協はワカメのダンボール包装を試験的におこない、海産物の製品改良にも関心が高まってきた。
 昭和三七年、尾札部漁協で青年部を中心にコンブ養殖試験が始められる。
 川汲漁協(組合長大槌吉彦)は「ミズコンブ」の裾刈りにより、コンブの増収を図ることに成功して注目される。

読売新聞の記事 昭和37.7.30


大船漁協青年部と養殖昆布

 昭和三九年、磯舟に船外機が普及しはじめる。
 昭和四〇年、川汲漁協は北海道の委託事業としてワカメ養殖を実施した。尾札部漁協も同様、ワカメ養殖試験に着手した。木直漁協は、有志五名によるワカメ養殖が始められている。
 昭和四一年、町内の漁協はアワビの放流を実施。尾札部漁協は養殖ワカメの本養成を、希望する組合員に五基実施した。
 黒鷲地先でホタテ・カキの養殖試験に取り組む。この年の秋、木直漁協はポン木直実行組合員によるコンブ・ワカメ養殖事業を実施、潜水夫の養成を計画化する。
 ワカメは、「ノレン式」養殖を取り入れ、ノリ礁の焼却方法による造成を実施した。
 この年、川汲漁協のコンブ養殖は、道開発局水産課の委託事業として三〇万円の研究助成をうけた。北水研増殖部長長谷川由雄博士の指導による、促成コンブ試験調査事業(四ヵ年計画)である。
 現地は、南茅部町と北海道水産業改良普及所ならびに川汲漁業協同組合が協力して、施設の設計・管理・標本調査等をおこなった。これらの試験調査の結果、二年生であるマコンブを一年間で生長させる促成栽培に成功した。マコンブの養殖に確信をもった川汲漁協は、コンブ養殖の企業化のために研究努力を重ねていく。
 昭和四二年、木直漁業協同組合でもコンブ養殖に取組み、翌四三年には見事なコンブを水揚げして喜んだ。
 昭和四三年、尾札部漁協は、前年施設のコンブ養殖の採取成績が良好であり、完全企業化への目途を確実にして注目をあつめた。しかし、春以来の異常高水温に禍され、個人企業化に踏み切ったノリ養殖は成果を得られなかった。
 川汲漁協のワカメ養殖も暖冬異変で収量五〇%、ノリ養殖の収量は二〇%と記している(業務報告書)。この年、川汲漁協は自己資金による企業化に踏み切った。
 昭和四四年、木直漁協はコンブ養殖の自営事業について総会の承認を得て実施。尾札部漁協は、補助事業コンブ養殖四三七台(六〇メートル)を継続事業として自信をふかめていった。
 この年、町内の六漁協は、何らかの形でコンブ養殖の企業化にむかって新しい時代をきり拓いた年となる。多くの指導者と関係者の協力に支えられながら、漁家の悲願は実現した。