函館市/函館市地域史料アーカイブ

南茅部町史 上

第六編 漁業

第一章 郷土の漁業

第一節 昆布漁業

明治初期の昆布場

 明治一六年、徳田和兵衛が博覧会に元揃昆布を出品したときの出品(製造品)目録と昆布説明書ならびにその記事がある。

出品(製造品)目録

一ヵ年営業元價  三千五百円
     雇 人      六十名
     小 舟      六十艘
     鉾(ほこ)        百八十本
     鎌        三百挺
     トマ(苫・莚(むしろ))   一千八百枚
 
  昆 布 説 明 書
仰(抑)昆布者天然之海艸(草)ニシテ日用之食品ナリ。是ヲ調理スルヤ或ハ煮、或ハ炙(あぶ)り、削テ以吸汁投シ製テ、以テ沃鎮ヲ得、其人ノ□滋養ニ益アルノ江潮ノ能ク知ル所ナレバ、又此ニ□セス。其産地タル北海道ヲ最多ナリトス。
其輸出タル内國中者最モ廣ク、就中大阪地方之需用其多キニ居ル。然ルニ近年ニ及ンデハ遠ク支那(中国)上海香港ノ地方ニ輸出スル者盛巨萬真ニ皇國ノ一大産物ト云モ可ナリ。此時ニ際シテ細人或ハ一固ノ小利ニ惑ヒ、上製ヲ覆(おお)フテ粗品ヲ包蔵シ、甚々シキニ至テ濕沙(砂)ヲ包テ秤量ヲ強クスルニ至。蓋私方製造之如キハ偏ニ廉直ニ基祖先来、聊盡力スルアリ。以テ前顯細人ノ弊終ニ品價ヲ落スニ至ルヲ憂、益憤發シテ製出スル所也。依而左ノ数條ヲ挙テ以テ聞ス
 
    記  事
  一、私方販賣之昆布者、今ヲ距ル五十二年前(天保四葵己)先代和兵衛始メテ茅部川汲濱ニ採集、以来数年製方ニ注意シ終ニ善良之名ヲ得。
  一、爾来□外之聲價ヲ辱フシ、全港者勿論諸國之廻船之ヲ賞シ、現ニ距今四十年前、大阪府昆布商村井伊兵衛ナル者、手船金吉丸房吉丸長栄丸之三艘ヲ下シテ積取ルニ至ル。而シテ聲 大阪府ニ高ク、府人呼ンテ〓(かくさ)(私家ノ印)昆布と云フ。
  一、明治十二年十月五日、函館海岸町ニ於テ農業博覧會 開場之際出品仕リ、一等賞ヲ賜フ(一等賞金五円)。
   之ヲ製造磯丁二頒布シ弥励精ヲ従(祝)フ。而シテ本年之景況昆布相場大ニ低厳(簾)ヲ来シ各地之産、上等ニシテ百石八百円、並物ニシテ六百円ニ至ルモ、私ノ昆布者依然トシテ百石壱千百五十円ニ販賣セリ。
  右鄙□ニ者 候ヘ共實際之事柄ニ付添テ出品候也
                          徳 田 和 兵 衛
                         (函館 徳田栄治 所蔵)