函館市/函館市地域史料アーカイブ

南茅部町史 上

第六編 漁業

第一章 郷土の漁業

第一節 昆布漁業

元揃昆布

 高田屋嘉兵衛蝦夷出産申上書には、昆布の最上は志苔の産のもので、「御用昆布」とされていると記している。志苔昆布の最上のものは三枚折とし、つぎは五枚折とする。天保一三年のこの申上書には、昆布箱館から恵山崎にかけて産し、六月土用前に鎌入れをして取始め、日数三〇日ばかりで取揚げるとしている。寛政年間すでに菅江真澄が記している尾札部から鹿部までの昆布採りのこと、文化年間、村上島之允の蝦夷島奇観に記される恵山崎から鹿部までの天下昆布のことには触れていない。いわゆる庭訓往来宇賀昆布を踏襲している。
 
     高田屋嘉兵衛 蝦夷出産申上書
  一 昆布の最上なるはシノリ昆布とて御用昆布ニ相成候よし 志苔村の海中ニ生し最上なるは厚き故三枚折と称し次なるは五枚折と云 夫れにても厚薄によりて目方は同し事といふ
    昆布の場所は箱館よりヱサン崎押廻りて磯より五六尋(ひろ)深サの海中ニ而生立候よし 六月土用前鎌入をして取始め 日数三十日斗の内ニ取上ケ候事のよし
    其頃志け(時化)強く浪あらき時ハ昆布熟しつつ根より取れ磯へ吹上ケ候事も有之由 夫を拾上ケても光澤不宜故御用昆布なとにハ不相成又味も不宜と云
    箱館城下は海邊在ニハ運上場にてハ無之故御用昆布を納入候へは其餘は働次第也と云
    昆布取の時節ニ相成候ヘハ箱館在々ゟ皆挊に出候よし 御用昆布長崎屋ヘ賣渡し其代料は此御入用を引去り残金を分け取候ゆへ運上場之分ハ仕入元へ代金を受取取計候事のよし也
    昆布取上方揃方等大ニ意味有之趣之事
                          (市立函館図書館 所蔵)