函館市/函館市地域史料アーカイブ

南茅部町史 上

第一編 郷土の自然

第三章 生物

第三節 動物―鳥類・昆虫―

昆虫

 昆虫は、生態系の中では食物連鎖の関係で重要な役割をしている。また、昆虫はあらゆる環境に生息しているが、基本的形体や種々の走性によってその種類特有の環境のみに生息するものが多い。
 渓流には生きた化石と言われるムカシトンボがみられ、低湿地にはエゾアカガネオサムシ、乾燥地にクロヤマアリが営巣し、平野部や高原にはヒナバッタなど、農地などにはセマダラコガネ、山林にはオナガアゲハ、ハンノアオミキリ、裸地に近い地面にジガバチ科のツチスガリなどが穴を堀り出入りして生息している。
 昆虫は、環境の中で特に食性との関係に左右される。
 
 食肉性の昆虫
 ムカシトンボ科、オサムシ科、ゴミムシ科、シデムシ科、ジョウカイボン科、ホタル科、テントウムシ科、ジガバチ科に属するものは食肉性であるが、シデムシは死肉を食べる。
 
 植物と昆虫
 植物とは特に密接な関係があり、種によっては特定の植物のみを食べる昆虫が多くある。北海道では南茅部町と木古内町のみに生息が確認されているウラクロシジミなど食樹としてマルバマンサクのみを食べている。また、食肉性の昆虫もスズメバチ科では営巣の巣材などに利用しており、他の種も直接あるいは間接に利用している。
 植物を食べる食植性の昆虫との関係は次のようになっている。
 ミヤマフキバッタは双子葉類の葉を好んで食べる。キアゲハはボウフウ類、ニンジン、パセリ科。オナガアゲハはサンショウ類。ミヤマカラスアゲハはハマセンダン、キハダ、ヒロハノキハダ。エゾスジグロチョウ、モンキチョウ、モンシロチョウはアブラナ科を食す。ウラギンシジミはトネリコ類を食べる。オオミドリシジミはミズナラ、カシワを食べる。ミドリシジミはハンノキ、ヤマハンノキ。トラフシジミはブナ科灌木の花、マメ科、ツツジ科、バラ科などの花に産卵。ベニシジミはタデ科。ツバメシジミはハギなど豆科。ミドリヒョウモンはタチツボスミレ類。ウラギンヒョウモン、ウラギンスジヒョウモンはスミレ類。イチモンジチョウはスイカズラ科。ミスジチョウはカエデ類。アカマダラ、サカハチョウはイラクサ科のもの。キタテハはカナムグラ。シータテハはニレ。キベソタテハはヤナギ類、ドロノキ。クジャクチョウはエゾイラクサ。コヒオドシはイラクサ科。ヒメアカタテハはゴボウ。アカタテハはイラクサ、ニレ、ケヤキ。コムラサキはヤナギ類。ジャノメチョウはススキ。ヒメキマダラヒカゲ、クロヒカゲはチシマザサなど。オオヒカゲはカヤリグサ。サトキマダラヒカゲはササの類を食べる。スジクワガタの幼虫は広葉樹の朽木に生息する。セマダラコガネの幼虫は農作物などの根を食べる。アオハナムグリは種々の花につく。ヒゲコメツキムシの幼虫は堆肥や土中で生活する。タイミョウコメツキは比較的乾燥した草地や針葉樹林の下草に生息する。コヨツボシケシキスイは腐敗した動植物や花粉などを食べる。アカハネムシは樹皮下や花に集まり、幼虫は朽木や樹皮下にすむ。クロカミキリモドキは花に集まる。ヨツスジハナカミキリは種々の花につき、幼虫はマツ類の枯木ですごす。ヤツボシハナカミキリは花に集まる。ヘリグロベニカミキリは種々の花に集まり、幼虫はカエデにつく。ヒメヒゲナガカミキリは成虫の方が広葉樹の枯木につき、幼虫はブナに集まる。
 ビロウドカミキリは枯木につき、幼虫はサクラやアカマツにつく。センノカミキリはヤツデにつく。ハンノアオカミキリは成虫がハンノキやシナノキにつく。シラホシカミキリは成虫が枯木に、幼虫はサワグルミやオニグルミにつく。ハギツツハムシはハギの葉を食べる。ヨモギハムシはヨモギの葉や茎を食べる。ルリハムシ、トホシハムシはハンノキにつく。セアカヒメオトシブミは産卵のとき広葉樹の葉を切って主脈に直角の軸で巻き上げ、ようらんを作る。オオルリコンボウバチの幼虫はタニウツギの葉を食べる。
 以上のように植物と密接な関係があり走化性である。においによって幼虫は食べる植物を確実に選ぶことができるが、逆にその植物がなければ生息できない種が多い(ウラクロシジミ)。成虫は生き残れる場所に産卵する。