函館市/函館市地域史料アーカイブ

南茅部町史 上

第一編 郷土の自然

第三章 生物

第三節 動物―鳥類・昆虫―

鳥類

 植物は鳥類にとって直接あるいは間接的に深い関係をもっている。直接には食物として葉や茎、芽、種子を食べたりねぐらや休息の場所とし、ときには外敵から身を守る場所としている。繁殖をする鳥は営巣場所に、また、巣材として利用している。間接には植物についている昆虫を食べたり糞によって植物に栄養を与え、また、種子を運んだりしている。
 鳥は植生にかかわりを持っている。鳥の種類によって広葉樹あるいは針葉樹を好み、また、特定の樹種、木の高さや草丈、林の隣緑などそれぞれの種類に好んで生息している。例えばウグイスは平地から山頂までのやぶの中や林に生息しているが高木林には少なく、また、二〇メートル以上の木に止まることはない。アオジは草地や明るい林にすみ、ホオジロは草地や農耕地の隣縁低木林に生息している。クマゲラ、アカゲラなどは林のある場所にすみ、キビタキは林の中で餌をとる。メジロは春にヤナギの芽に集まる。海藻は直接に利用することは少なくウミウが巣材に利用している。植生ごとの関係は次のとおりである。
 
 高木・亜高木
 ブナ、ミズナラ、イタヤカエデ、ハウチワカエデ、シナノキ、植林されたトドマツ、カラマツの地帯にはアオバト、キジバト、クマゲラ、アカゲラ、コゲラ、クロツグミ、メボソムシクイ、センダイムシクイ、キクイタダキ、ハシブトガラ、コガラ、ヤマガラ、シジュウカラ、キバシリなど森林性の鳥がみられ、林内の昆虫あるいは木の芽や実を食べている。オジロワシ、オオワシは海岸線に近い林で休息しており海面近くの魚を捕えている。
 
 低木・林縁・蔓木
 エゾヤマツツジ、イタヤカエデ、ナナカマド、バッコヤナギ、ブナ、ブドウ、植林されたカラマツなどの植生にはエゾライチョウ、キジ、ジュウイチ、ヒヨドリ、アカハラ、ウグイス、オオルリ、メジロ、ホオジロ、アオジ、ウソ、ヤマガラなどが観察されている。エゾライチョウは針葉樹の芽や実をよく食べる。ヒヨドリはナナカマドの実やバラの実を食べる。ヤマガラはオンコの実を好んで食べる。キジはバラの実をはじめ農耕地に入って豆や殼物のほか草の実や根も食べる。このほか身を護るために林内に入っている。
 
 草地・伐採地・農耕地
 草丈にも関係があるが、草原性の鳥と林縁にすむ鳥がみられている。ウズラ、キジ、ヤマシギ、カッコウ、ヒバリ、ビンズイ、モズ、アカモズ、ノビタキ、ホオジロ、ホオアカ、カシラダカ、ミヤマホオジロ、ベニヒワ、ハギマシコ、ムクドリ、キジバト、ツグミ、シメなどが観察されている。林の中にすむ鳥も採餌場として集まる。シメは林の中で木の実などを食べているが、秋には豆類や草の実を食べている。ベニヒワ、ハギマシコなどは草の実を食べている。ホオジロ、ホオアカ、ノビタキなどは繁殖期に昆虫を捕っている。モズ、アカモズは昆虫のほかにカエルなどやや大型の動物性のものを食べ、ムクドリもほとんどが昆虫など動物性のものを食べる。
 
 河川
 川は地形の関係で山間を流れる渓流となって、太平洋に流れ込んでいる。したがって、渓流にすむ鳥がみられている。川には中野川、黒羽尻川、磯谷川、ガロウ川、大船川、精進川、川汲川、尾札部川、八木川、ポン木直川、木直川、白井川、相沼川などあるが小川が多い。生息する鳥はオシドリ、カルガモ、カワセミ、キセキレイ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、カワガラスなどがみられ、開けた地域の河口近くの下流にはカモメ類のウミネコ、セグロカモメ、オオセグロカモメ、ユリカモメなどが入り餌を探したり水浴をする。また、ハシボソガラス、ハシブトガラスもみられる。
 河川の形状からカモ類などの水鳥の休息場所が少なく、前記のオシドリ、カルガモが八木川、大船川に見られたのみであった。しかし、荒天のときには多少入ると思う。
 
 海岸線
 海岸には崖地、礫浜、岩礁、岩磯、僅かの砂浜がみられて、鳥の採餌休息場となっている。獅子鼻岬にはヒメウ、ウミウの休息場がある。崖地やトンネルにはイワツバメが営巣しているが、トンネルの改良によって移動した鳥が多い。海岸線にみられる鳥はウミウ、ヒメウ、イソシギ、ユリカモメ、セグロカモメ、オオセグロカモメ、カモメ、ウミネコ、ミツユビカモメ、イワツバメ、ハクセキレイ、ハシボソガラス、ハシブトガラスなど。
アオバトは夏期海水を飲むために海岸に降りてくる。
 岩のある海岸を好むイソヒヨドリは海岸線を中心として行動し、昆虫などを食べている。ハクセキレイは裸地に近い環境に広く分布しているが、南茅部町は海岸線近くに集中している。そして昆虫など動物性の物をとっている。
 
 沿岸
 南茅部町の海岸は外洋に面しているために、沿岸性の鳥と外洋性の鳥とがみられている。南茅部町の南にある恵山岬は寒流の千島寒流を主としているが、暖流の対島海流の影響も受け植物プランクトン、動物プランクトンなどの食物連鎖による魚類が多く集まり魚田となっており、南茅部も魚場となっている。そのためにプランクトンや魚貝など動物性の食性をもつ海鳥が多く集まり、採餌や休息をする。また、春から秋まで恵山岬・南茅部町の海鳥繁殖地のオオセグロカモメやウミウなどの採餌場ともなっている。
 これらの海鳥は渡りの途中、採餌や休息あるいは越冬するために沿岸に飛来する。そして、海鳥にとって渡りの重要なコースとなっている。
 沿岸でみられる鳥はアビ科のアビ、オオハム、シロエリオオハム、ハシジロアビ、カイツブリ科のカイツブリ、ハジロカイツブリ、ミミカイツブリ、アカエリカイツブリ、ミズナギドリ科のオオガミズナギドリ、ハイイロミズナギドリ、ハシボソミズナギドリ、ウ科のウミウ、ヒメウ、ガンカモ科のクロガモ、ビロードキンクロ、シノリガモ、コオリガモ、ホオジロガモ、ウミアイサ、ヒレアシシギ科のアカエリヒレアシシギ、カモメ科のユリカモメ、セグロカモメ、オオセグロカモメ、ワシカモメ、シロカモメ、カモメ、ウミネコ、ミツユビカモメ、ウミスズメ科のハシブトウミガラス、ウミスズメ、エトロフウミスズメ、コウミスズメ、ウトウなどがみられている。
 シノリガモは岩磯のある海岸にみられる鳥である。他のカモ類はウミアイサを除いて余り多くないが、渡り鳥の時期には大群で飛来し、あるいは群が次々と長時間続いて渡る。アカエリヒレアシシギは渡りの時期に大きな群で立ち寄り、プランクトンなどを食べて一時休息する。ミズナギドリ類は海面を薙(な)ぐようにとびながら海面近くのプランクトンやイワシ、イカなどの小魚を食べながら移動し、ときには海面で休息する。カモメ類は春秋の渡りの時期などに数が多くなる。
 これらの海鳥は年中みられるウミウ、ヒメウ、オオセグロカモメ、ウミネコなどがいるがほとんどが渡り鳥であり、その種類によって渡りの時期と数量が異なっている。
 海鳥は北海道南部で繁殖する鳥はウミウ、ヒメウ、オオセグロカモメ、ウミネコ、ウトウ、ケイマフリ、オオミズナギドリである。海鳥の糞は海藻に栄養を与える。