函館市/函館市地域史料アーカイブ

南茅部町史 上

第一編 郷土の自然

第三章 生物

第二節 海藻

沿岸の海藻

 植物といえば、うっそうと茂る樹木や、原野をおおう草花を心にえがくのが普通であろう。あるいは、自分の庭で育てている花や木に思いをはせるかもしれない。しかし、水の中の植物―海藻となると、仕事や生活の上でよほど関係の深い人々でもないかぎり、興味を持つことはないようである。このように人目を引かない海藻ではあるが、南茅部町のような漁業の町で、特にコンブに大きく依存していることを考えるならば、海藻のさまをよく知ることは意義のあることであろう。
 ところで、海藻とは植物の中でどのようなグループをさすのであろうか。植物を大別する方法にはいろいろあるが、ここではまず、花を持つグループと、これを持たないグループに分けてみよう。この分け方は具合の悪い点もあるが、一般的な方法で分かりやすい。海藻は花を持たないグループに入るが、しかし、この中にはコケとかキノコなど多くのグループも含まれている。したがって、これを更に細かく分けるために、陸上に生活するものと、水中に生活するグループ、というぐあいに分けていく。さらに、同じ水の中でも、淡水中か海水中かを区別する。このようにしてだんだん絞っていくと、結局“海藻とは、花を持たず、海水中に生活する肉眼的な大きさの植物”ということになる。
 海藻は分類学的に見るならば三つのグループから成り立っている。すなわち、アオノリなどの緑藻、テングサとかアマノリなどから成る紅藻、コンブ、ワカメなどが入る褐藻である。これらは字句から想像できるように、それぞれの体色により付けられた名前である。ただし、いずれも海藻の定義にたまたま合致したグループである、というにすぎず、お互い親威同士というわけではない。生物学的には、むしろ赤の他人といった方がよい間柄である。
 海藻にはコンブのように根、茎、葉がはっきり分かれており、見たところ陸上の植物と変わらないものがある。しかし、陸上の植物のように根で水や栄養分を吸収し、葉でデンプンを造る、というような仕事の分担をしているわけではない。根を含めた体全体で栄養分を取り入れたり、物質を合成したりする下等な植物である。
 日本の沿岸には、現在まで一〇〇〇以上の種が知られている。このうち南茅部町沿岸には一一五種の生育が確認されているが、今後の調査により二〇種程度は増えるであろう。これを合わせると、沿岸三四・五五キロメートル間の種の数としては、多くもなし少なくもなし、というところである。