函館市/函館市地域史料アーカイブ

南茅部町史 上

第一編 郷土の自然

第三章 生物

植生概説

むすび

 当町管内の全般的な植生の特質として、まず第一に、植物景観の四季の変化が明瞭な温帯的要素である夏緑広葉樹林帯(ブナ帯)の北部に位置することがあげられる。第二には、第一に深いかかわりをもつことであるが、南北両要素の濃厚な混生地帯であることで、このことは多かれ少なかれ道南全域に共通することではあるが、当地域は日本海側(江差方面)に比し、本州要素がややうすく、反面、寒地要素がやや目立っている。第三に、生態的には海岸性植物から高山性植物までを広く包含していることである。したがって種の数も多く、現在までに記録されたものは一三八科、四一二属、七八三種、二八変種、二四品種におよんでいる。しかし、この数はもとより固定的なものではない。第四の特質は、古くから主たる生業が漁業であったためか、内陸の植生に対する人為的干渉が少なく、道南の他地域にくらべ比較的自然度の高い植生が豊かに維持されて今日にいたっていることであろう。
 内陸部の植生状態の如何は沿岸漁業、養殖漁業などの盛衰に深いかかわりをもつだけに、山岳丘陵地帯の植生および河川の保護、林道、農道などの保全については今後とも十分な施策と管理が必要である。