函館市/函館市地域史料アーカイブ

南茅部町史 上

第一編 郷土の自然

第三章 生物

植生概説

帰化植物

 帰化植物とは、「外国の植物が風、海流、動物の移動などの自然の営みによらず、人為の介在によって移入または侵入し、わが国の自然界に定着し野生化している植物」のことである。それらは食用、薬用、飼料、園芸用、あるいは工業用として意図的に移入されたもの、あるいはそれらに混入してきたものもあれば、各種の輸入物資や交通機関に付着して侵入したものもあって、その機会は多様であるが、歴史的には、世界に門戸を開いた江戸末期から明治以降において、世界各地からの帰化種が急激に増加している。とりわけ戦後の貿易の増大、交通機関の発達、出入国人口の増加などによって一層の拍車がかかり、その上、高度経済成長時代の開発事業の急激な進行により、国内のいたるところに帰化植物の侵入繁殖を助長する荒地や裸地が拡大された。
 江戸末期から明治以降のものを特に「新帰化植物」または「新渡来種」と呼称しているが、各種の文献によると、現在わが国にみられる新帰化植物は八〇〇種をこえ、そのうち北海道には二三〇余種が記録されている。当地域は古くから人々が住みついていたにもかかわらず、主たる生業が海にあったためか、内陸部の植生に対する人為的干渉は少なく、帰化植物の侵入も道南中央部ほど多くはない。しかしながら、国道、道道などの建設と車道化、農道、林道などの延長と整備、護岸工事、宅地造成などの影響により、帰化率も上昇の傾向にあることはいなめない。
 次ぎに、当町管内の各種道路、耕地、海岸線、居住地周辺などにみられるおもな新帰化植物を、普遍的に分布しているものと、点在または分布の局限されているものに分けて列記する。
 
 (1)普遍的に分布し、量的にも多いもの。
  ナガハグサ、オオアワガエリ、カモガヤ、ヒロハウシノケグサ、シラケガヤ、ハルガヤ、ヒメスイバ、エゾノギシギシ、マメグンバイナズナ、シロツメクサ、ムラサキツメクサ、メマツヨイグサ、オオイヌノフグリ、タチイヌノフグリ、ヘラオオバコ、セイヨウタンポポ、オニノゲシ、オオアワダチソウ、ノボロギク、オオハンゴンソウ、トゲジシャ、ブタナ、コウリンタンポポ、ヒメムカシヨモギ、ヒメジョオン、フランスギク、エゾノキツネアザミ、ユウゼンギク、ブタクサなど。
 
 (2)分布が局限され、個体数も少ないもの。
  シバムキ、ホソムギ、ネズミムギ、オニウシノケグサ、コヌカグサ、キショウブ、ナガバギシギン、オオケタデ、ソバカズラ、ヤマゴボウ、シラタマソウ、ツキミセンノウ、ホザキマンテマ、ムシトリナデシコ、グンバイナズナ、カキネガラシ、タチオランダゲンゲ、キバナツメクサ、コメツブウマゴヤシ、セイヨウミヤコグサ、ハリエンジュ、イタチハギ、コニシキソウ、マツバトウダイ、オオマツヨイグサ、アレチマツヨイグサ、ビロウドモウズイカ、アカミタンポポ、セイタカアワダチソウ、キヌガサギク、ハナガサギク、イヌカミツレ、キクイモ、ハキダメギク、ヘラバヒメジョオン、キクニガナ、セイヨウノコギリなど。
 
 以上七〇種近くにおよんでいるが、この数は今後増加するものと予想される。また、キク科植物が最も多く、イネ科がこれに次いでいることは全国的傾向と同様である。