函館市/函館市地域史料アーカイブ

南茅部町史 上

第一編 郷土の自然

第三章 生物

植生概説

丘陵地帯

 亀田山脈の中腹から海岸付近にいたる山麓地帯は、河川の侵蝕による起伏の多い緩斜面で、下部には若い二次林や若干の植林地、および耕地を含んでいる。耕地の大半は居住地に近い台地に集中し、その面積は町総面積の僅か九%に過ぎず、水田は全くない。スギ、トドマツ、カラマツを主体とする植林地は小規模ではあるが随所にみられ、母樹林(採種林)には立派な精英樹も少なくないが、これも町面積の一〇%をこえていない。残余の広大な地域の大部分が夏緑広葉樹の自然林に被われている。しかし、南東部を除いては古い自然林に乏しく、北西部はほとんどが若い二次林で占められている。
 組成樹種は「山岳地帯」の下部に較べて際立った差異は認め難いが、次ぎのような樹種が量的に目立ってくる。
すなわち、
  イチイ、カラフトヤナギ、バッコヤナギ、エゾヤナギ、キヌヤナギ、ドロノキ、ヤマナラシ、オニグルミ、シラカンバ、ウダイカンバ、ケヤマハンノキ、アサダ、ミズナラ、カシワ、クリ、ブナ、ハルニレ、オヒョウニレ、ヤマグワ、カツラ、キタコブシ、ホオノキ、エゾヤマザクラ、ナナカマド、アズキナシ、イヌエンジュ、ハウチワカエデ、イタヤカエデ、ミツデカエデ、ヤマモミジ、トチノキ、シナノキ、ハリギリ、ミズキ、ハクウンボク、アオダモ、ヤチダモ
などである。また、亜高木、低木には次ぎのようなものが顕著である。
  ハイイヌガヤ、サワシバ、アカシデ、ヒロハヘビノボラズ、オオバクロモジ、ノリウツギ、エゾアジサイ、マルバマンサク、ノイバラ、クマイチゴ、クロイチゴ、ウラジロイチゴ、ケカマツカ、ヤマウルシ、ヌルデ、ミツバウツギ、オオバマユミ、コマユミ、ツリバナ、ウリノキ、オニウコギ、ヒメアオキ、リョウブ、ムラサキヤシオツツジ、エゾヤマツツジ、ホツツジ、サラサドウダン、オオカメノキ、カンボク、キンギンボク、エゾニワトコ、アラゲガマズミ、タニウツギなど。
 ブナの優占する自然林は、規模の大小、樹齢の老若を問わなければ山岳地帯下部から丘陸地帯の各所にみられ、特に南東部には古いものが多い。毛無山(六三〇メートル)付近から丸山(六九一メートル)にいたる稜線の北斜面(八木川、木直川、白井川上流域)の表土の厚い渓側緩斜地では、胸高直径八〇センチメートルをこえる大径木の原生ブナが壮齢ブナをまじえて原生林の面影を残している。しかし、稚樹は目立っているが若齢ブナに乏しい。混生木本ではオオバクロモジ、エゾイタヤ、シナノキ、オオカメノキなどが目立ち、林床にはチシマザサの侵入が少ない。あっても一般に粗放である。
 林床および林緑、林道などの草本は種類に富み、おもなものをあげると、
  オオウバユリ、エゾイラクサ、オニシモツケ、エゾニウ、アマニウ、オオハナウド、ヨブスマソウ、チシマアザミ、ベンケイアザミ、オヤマボクチ、サワヒヨドリ、エゾゴマナ、ハンゴンソウ
などの高茎草本をはじめ、
  クサソテツ、オシダ、ジョウモンジシダ、シシガシラ、クジャクシダ、タガネソウ、カワラスゲ、ユキザサ、シオデ、ツクバネソウ、エンレイソウ、オオバナノエンレイソウ、クルマユリ、サイハイラン、クマガイソウ、エゾエビネ、エゾスズラン、ノビネチドリ、オニノヤガラ、ヒトリシズカ、アカソ、イシミカワ、ヤナギタデ、ミズヒキ、オオヤマフスマ、エゾトリカブト、キクザキイチゲ、シラネアオイ、アキカラマツ、ヤマシャクヤク、ルイヨウボタン、エゾショウマ、シロバナイカリソウ、コンロンソウ、トリアシショウマ、ヤマブキショウマ、オオダイコンソウ、キンミズヒキ、トチバニンジン、オオサクラソウ、クサレタマ、コナスビ、ガガイモ、イケマ、ジャコウソウ、ヒキオコシ、エゾクガイソウ、ハエドクソウ、クルマバソウ、オミナエシ、コウゾリナ、イヌヨモギ、エゾタンポポ
などである。