函館市/函館市地域史料アーカイブ

南茅部町史 上

第一編 郷土の自然

第二章 地勢

第一節 地形

 山地地形は南茅部町の大部分を占めるものであり、南茅部町に属する主な山地としては、熊山(八一七・九メートル)、泣面山(八三五メートル)、袴腰岳(一一〇八・三メートル)、台場山(五二七・八メートル)がある。これらの山地のうち袴腰岳がわずかに一〇〇〇メートルを越しているだけで、これ以外の山地は五〇〇―八〇〇メートルの高度を示すにすぎず、一般に低い山地よりなっているといえる。これら山地を刻む河川としては、北から南に中ノ川、磯谷川、ガロウ川、大船川、垣ノ島川、川汲川、築上川、著保内川、尾札部川、八木川、見日川、ポン木直川、木直川、白井川、相川、滝ノ沢、精進川などがある。しかし、これらの河川はいずれも短小なものであり、もっとも長い磯谷川でさえも一一キロメートル、ガロウ川―大船川で九キロメートル、大船川だけで八キロメートルを示すにすぎず、それ以外の河川はきわめて短いものである。いずれの河川も町内に水源を有しているのは、他市町村との間の境界が亀田半島の尾根をなしているためである。このような地形であるが、起伏量は比較的大きい。ここで起伏量を五万分の一地形図の各辺を一〇等分した方眼内の、最高点と最低点との標高差として考えて、南茅部町内の起伏量を調べてみることとする。
 町内最大の起伏を示す所は、万畳敷原野の東のガロウ川と磯谷川にはさまれた地域で、六〇〇―八〇〇メートルの起伏量を示している。それ以外は大体において三〇〇―四〇〇メートルか、四〇〇―六〇〇メートルの起伏量を示す所が多く、起伏量は亀田半島の他の地域に比較して大きいとみることができる。
 起伏量と同様に、五万分の一地形の各辺を一〇等分した方眼の各辺を切る谷の数の総計を谷密度と考えると、南茅部町内の谷密度の最高は一九谷数を数え、それ以外も山地では一五以上の谷数を示し、亀田半島内では比較的多く、河川によってよく侵食されていることを示している。
 山地中にあっても、比較的平坦な地形を示すものに万畳敷原野がある。ここでは一〇〇分の一の傾斜を示している。このように平坦な地形を示しているのは、シソ輝石、普通輝石、安山岩よりなる泣面山熔岩の堆積面をなしているためで、熔岩台地をつくっている。「泣面山は半ドーム状の形を示し……。この熔岩は万畳敷の台地下では約五〇メートルの厚さで磯谷川火山砕屑岩類をおおっており、柱状節理が認められる。泣面山をつくっているものは、見かけの厚さが三〇〇メートルもあるが、下限は明らかでない。下部には著しく破砕された熔岩をはさむが、上部は塊状の節理の発達した熔岩から成り立っている。これらのことから、泣面山の山体はドーム状の隆起をしたもので、その後に噴出した熔岩が万畳敷の台地をつくった可能性がある」(五万分の一地質図幅・東海)と考えられている。熔岩台地というのは、インドのデカン高原を好い例とするように、一枚あるいは多数の熔岩流によってつくられた台地であるが、泣面山熔岩台地はこのような巨大なものではなく、四国の屋島に見られるような小規模熔岩台地とでもいうべきものである。台地の比高は二五〇―三〇〇メートルくらいである。