函館市/函館市地域史料アーカイブ

恵山町史

第5編 交通・通信

第1章 交通

第9節 戦後の陸上交通

6、『道道』、函館恵山線と元村恵山線

 幹線道路としての元村恵山線
 道道635号元村恵山線は、国道278号線の本町字日ノ浜分岐点から海岸線を日ノ浜・古武井・恵山を経て東端の字御崎に至る路線で実延長9.2キロ、「道道」昇格は昭和48年3月31日である。この路線は、松浦武四郎の「蝦夷日誌・巻之五」など古文書にも記されているとおりに、江戸末期から村内で最も漁業収獲の多い地域で人家も多く、人々の往来も物資の流通も頻繁な幹線道路であったが、準地方費道(北海道の管理下の道路)から外され町村道として長いこと管理・修復されてきた。
 この路線を地学的に見ると、古武井地区の海岸段丘の崖下と前浜の平磯との間の平坦地を縫うようにして開削された道と、それに繋がる恵山・御崎地区の8,000年前の恵山噴火の元村火砕流で形成された台地の裾を海岸沿にはしる道と、山側が2つの地形に分けられる。そして、この路線は恵山(618メートル)直下を通り断崖が海に落ち込んだ所で寸断されている。
 路線は元村恵山線と呼ぶように、椴法華村元村までが計画路線であるが、開削計画は全く未定である。明治8年には椴法華尻岸内両村人により、磯谷(御崎)から山越えし椴法華村元村に通じる道路が開削されたが、これはすでに廃道となっている。
 昭和7年(1932)準地方費道函館椴法華線の古武井(日ノ浜)まで定期バスが運行するようになると恵山観光が一躍脚光を浴び、村・関係機関はバス路線の延長を要請、併せて村費用による道路・橋梁の改修が行われた。同12年(1937)10月には下海岸自動車が日ノ浜・恵山間にバス運行を開始したが、未舗装で凹凸の多い3.5メートルの狭い道幅に乗客は乗心地が悪く、乗務員は難儀を強いられたと伝えられている。
 この路線の戦後の改修については、前出(2)の尻岸内村の戦後の道路復旧工事に記したが、その中でも元村恵山線(旧村道古武井・磯谷線)の復旧工事の件数が突出しており、多くの村費を費やしていることが分かる。この海域は千島海流が海岸にぶつかる上に護岸の構造も弱く、また、小河川が多く増水による橋梁の災害も多い路線なのである。
 
道道元村恵山線の改良工事進捗状況(平成8年度現在)
 元村恵山線の構造的な改良工事が行われるようになったのは昭和48年3月、この路線が道道に昇格後である。工事の進捗状況については次の表と地図に記す。
 道道元村恵山線の改良工事は、昭和57年度から御崎地区を先行し、追って同62年度から日ノ浜・古武井地区と、2地区平行し行われた。
 御崎地区は平成8年度までの改良工事の延長が1,573メートル、日ノ浜・古武井地区は同じく813メートル、要した事業費、それぞれ30億9千4百万円、12億8千6百万円、1メートルを改良するのに要した金額が、それぞれ197万円、158万円という巨額となっている。これは先にも述べたが、地形の関係上大部分が海側にう回路を採ること、当然、海岸線には護岸工事と消波ブロック・テトラポットの投入を必要とすること、さらに漁業者のための「船揚場(斜路)」の建設などの費用が嵩さむことなどが挙げられる。
 この改良工事の進捗状況をみると、御崎地区では1年間に105メートル、日ノ浜・古武井地区では1年間になんと8メートルといった遅い進捗である。この地図に示している計画はあくまでも大ざっぱな見通しではあるが、全線改良に34年間を要するとの見通しとなっている。

改良された道道元村恵山線 日ノ浜・古武井工区


改良された道道元村恵山線 御崎工区

 予算はさておき改良工事の進捗が遅いことについて、その1つは古武井地区の前浜が良質なマコンブの生産地であること(恵山地区についても同様良質なミツイシコンブの生産地である)から、漁業者の協議と、前浜への影響を最小限度に抑える工法などの検討、今1つは恵山地区のルート(3つのルートが候補)が未だ決定していないことの2つが大きな要因となっている。

[表]

 
道道元村恵山線整備促進期成会の設立
 平成11年6月14日、このような状況を何とか打開するために、道道元村恵山線の早期整備の促進を計る期成会が結成された。会は当該の古武井・恵山の漁業組合関係者・町内会・女性会などの団体役職者を中心に、町内の有識者らにより構成され会長には古武井漁業組合長の大坂元一氏、副会長に恵山町内会長の長田光雄氏を選出。事業として①各関係機関への要望・陳情を積極的に行うこと、②地域振興に関する調査研究を自主的に進め実態・認識をふかめることなどが決議された。
 さらに、この事業を促進する要件として、①道道元村恵山線の日ノ浜地内国道278号線の交差点から恵山公園までのバイパス道路(3.7キロメートル)、現在改良進行中であるが、近年の観光ブームにより、平成10年度の実績では年間32万人の観光客の入込みがあり、特に「恵山つつじまつり」の最盛期には狭い道路(幅員3.6メートル)の渋滞で観光客に不評をかっている現状と、この道路線の交通事故・火災等の災害緊急時における消火活動や避難誘導に著しく支障を来している現状を認識してもらうこと。
 ②また活火山恵山の噴火時に対応して平成10年「恵山火山防災会議協議会」が設立・ハザードマップも作成され、噴火緊急時における避難・救援のライフラインとなる道路の確保が確認されている。その中で最も重要視されているのが元村恵山線の字恵山から字御崎に至る道路であり、その実態の認識をはかることなどが総括された。

道々元村・恵山線未改良区 古武井工区


同右 車の交差も大変。幅員5.2m