函館市/函館市地域史料アーカイブ

恵山町史

第3編 行政

第3章 昭和の行政(戦前・戦時)

第2節 戦前・戦時の尻岸内村行政

2、役場庁舎の移転・新築

 昭和の世となり、第2次町村制度の改正と同じ年、役場にとっての一大事業であり念願の役場庁舎が移転・新築された。
 当時の役場庁舎は、明治36年(1903年)、戸長役場時代に尻岸内村武井・現在の字豊浦から古武井・現在の字日ノ浜(平成15年現在、工藤勘次郎氏宅で一部増改築されているが現存する)の新築された庁舎に移転したものであったが、すでに20有余年経過していた。なお、村財産目録によれば、この明治36年の庁舎は村の財産ではなく、庁舎として無償貸与を受けていたものである。所有者については明記されていないが、当時、開山した古武井硫黄鉱山(山懸か押野)のものと推察する。このような事情もあり村として自前の役場庁舎新築には強い願いがあったものと思われる。
 武石胤介村長の事務引継・演説書(大正14年10月25日)には、「役場庁舎及び吏員住宅ハ、明治三十六年ノ建築ニ係リ腐朽甚ダシク且ツ狭隘トナリタルヲ以テ早晩改築ノ要アリト認ムル処ナリ。依而考究計画ノ上新築ノコトヲ取計ハレタシ。」と庁舎移転新築について考慮・計画することが引継がれている。
 武石村長の後任として、案件を引継いだ菅原直次郎村長は、翌大正15年、村役場庁舎移転候補地として、字古武井の山田長平より同人の所有地『字古武井一五七番地の一及び二の三百四十九坪』の寄付申し出があったことを村会に報告・審議、満場一致で役場建築用地の決定をみる。そして、同年8月13日『役場位置変更許可申請』を提出、同年10月30日北海道庁長官中川健蔵の名により内地第3858号の許可が下り、『昭和二年五月庁舎新築工事開始、同年九月二日完成』ようやく念願の庁舎新築を果たし9月25日新庁舎へ移転する。さらに、昭和6年に役場吏員住宅2棟4戸を新築し、昭和11年7月には『役場庁舎門柱・階段工事・工事費一六二円一九銭』、同年11月『役場庁舎増築模様替工事・一二坪七合・工事費七七〇円三三銭』の追加工事を行い環境の整備も整う。
 この役場庁舎は、昭和39年(1964年)10月20日現役場庁舎が完成し引越すまで、37年間にわたり村政の要として、又、瀟洒な建物として村民にも慣れ親しんだ。

名主・年寄・百姓代時代の役所 「会所」跡に残る“いちい”の老木


明治36年(1903)戸長役場庁舎 武井(現豊浦)から古武井(現日ノ浜)へ移転。新築貸与される。工藤勘次郎氏宅として現存。


昭和2年(1927)9月新築、25日移転の庁舎 古武井157の1・2(現日ノ浜)昭和39年まで37年間使用。


昭和時代、戦前・戦後を通し郷土の行政の中核となり、住民に馴れ親しんだ庁舎(昭和30年代の写真から)