函館市/函館市地域史料アーカイブ

恵山町史

第3編 行政

第2章 明治・大正時代の行政

第2節 3県と北海道庁の開設

2、3県(札幌・函館・根室)の設置

 政府は、明治15年(1882年)2月8日「…開拓使ヲ廃止シテ函館、札幌、根室ノ三県ヲ設置…」の太政官布告8号により、開拓使管轄の北海道を分割し、函館・札幌・根室の3つの県を設置した。
 
3県の人口と管轄区域
・函館県 人口15万人(明治19.1)
    渡島国全域・後志国南部8郡・胆振国西部1郡
・札幌県 人口11万9千人( 〃 )
    石狩・日高・天塩国の全域・後志国北部9郡
    北見国西部4郡・胆振国東部7郡
根室県 人口1万7千人( 〃 )
    根室・釧路・千島の全域・北見国東部4郡
 
函館県の設置
・函館県の管轄区域は、渡島国全域6郡(亀田、茅部、上磯、松前、檜山、爾志)・後志国南部8郡(磯谷、歌棄、寿都、太櫓、瀬棚、久遠、奥尻、島牧)胆振国西部1郡(山越)
・函館県庁の開設は、明治15年3月16日で、行政の最高責任者「県令」には、開拓使函館支庁開拓大書記官であった「時任為基」が任命される。県庁舎は、函館区元町(現元町公園)にあった旧開拓使函館支庁の施設がそのまま使用され、5月には、庶務・勧業・収税・学務・衛生・土木・地理・出納・出港税の9係を開設、併せて警察・監獄が設置される。翌、16年には兵事係が新設されている。
・県庁所在地の函館区は、明治19年人口43,550人を数える北海道一の大都市で、国内有数の都会であった。
 
 尻岸内村の現況(明治十五年尻岸内村統計表より)
・戸数と人口 戸数二七一戸 人口(男一、〇九九人)(女七四九人)  計一、八四八人
・産業  漁業 昆布五千円 鰯粕八万四千円 生鰤二五〇円
     網  建網・引網一六統 刺網一一放 雑網一二放
     船  磯船二七一隻 モチップ船一一六隻 二百石積船三隻 艀三八七隻
     農業 大豆・小豆・馬鈴薯・大根・胡瓜・南瓜等 生産額約千円
・施設  神社四・寺院一(浄土宗)・郵便局一(根田内)・小学校三(尻岸内古武井・根田内 明治十三年創立)
・戸長  阿部 冨
・その他 酒醸造業一軒・産婆一名・神職一名など
 
 この時期(明治14~16年)、鰯の大漁が続き(〆粕にして)年平均7万円を越える生産額となり、浜は大いに賑わった。また、入稼により人口も急激に増えた時期でもある。
 当時の郷土の様子を函館新聞は次のように伝えている。
 
 『函館新聞(現北海道新聞)・明治十八年十一月十八日より』
本県(函館県)下、亀田郡尻岸内村は函館を距(へだた)る沿海凡(およ)そ十一里余、字日浦、古武井、根田内の三支村を合(あわ)して一村落を為し、亀田郡中の首府なり、海湾良きにあらざれども、汽船を寄せ且つ格別の退潮に非ざれば船舶を停繋(ていけい)するを得べし。沿海一村の距離三り余りに渉(わた)り、居数三百五十五戸、人口一千八百五十四人あり、公立小学校三校(尻岸内古武井、根田内の三ケ所)を設け、戸長役場を置く、未だ病院の設けなけれども警察分署を置かれ保護至れりと謂(い)ふべし。
居民の営業は漁業を以て第一とし農業之れに次ぐ、元来、当海湾は今を距る二十五、六年前は、鰊の群来最も多かりしが、近来絶えて同漁の収穫無きがため、春季に至れば村民三分の一は皆老幼留守に残して他の漁場へ出稼するを年々の例とせり。因みに云ふ、鰊の近海に群来せざるは沿海の樹木を濫伐せしに原由せりと聞く。または、夏秋の二季は鰯、昆布、冬季は鱈、鮫、鮃(ひらめ)など、交互捕漁し以て生業と為せり、冬季に重なるものは鮫漁にあり該漁は十月に始まり二月に終わる。
この三ケ月間を始納と乞う年々この期に際し、近くは函館、遠くは青森等の各地方より、出稼ぎするもの甚だ多し。これらの出稼人は各自川崎船にて渡航し、直(す)ぐこの船を以て鮫漁を為す事になるが、大抵、毎年五、六十艘の多きに至ると云ふ、而して、該船(長四間中央幅六尺)一艘の乗組漁夫五名を以て一組と為す。本村居住の漁師はモチップ船(長三間幅四尺)を以て鮫漁に充つ、総数凡二百艘内外に過ぎさるべしと云へり。
 
『函館新聞(現北海道新聞)・明治一九年一月二十日より』
 函館方面水産物実況
鱈=亀田郡尻岸内村より椴法華村まで各村にて五百拾石余の収獲あり、茅部郡森町地方は著しき取獲なきも尾札部村地方本支三カ村にて二百七十三石余収獲。
鰮(いわし)=亀田郡下湯の川村より戸井村迄凡二百石、尻岸内村から椴法華村までの各村にて五百石余。
盛季ここに過ぎたるを以て著しき捕獲なしと雖も、亀田郡尻岸内村より椴法華村間の各村に五百尾余の取獲あり、茂辺地村は独り豊漁にて二百六拾石余。
鰤(ぶり)=尻岸内村字古武井、根田内及び椴法華村の三ケ村にて千四百八十七本の収獲有り。
鮃(ひらめ)=著しき収獲なし、唯食用に供するもののみ。
鮫=最早終季なれば追々薄漁の模様、尻岸内の取獲高二百五十本。
昆布
=季節ここに経過したるを以て採取に従事するものなし、然ども激浪のために、偶々海浜に寄りたるを拾ひ揚げ乾燥するは、独り亀田郡尻岸内村字古武井あるのみ、この採取高五拾貫目余りども、品質粗悪は最も甚だしければ価格もまた廉なるべし。