函館市/函館市地域史料アーカイブ

恵山町史

第1編 自然

第6章 鳥類

第1節 日本の自然

1、恵山町の自然

 恵山町は、北海道渡島半島の東端に位置し、町名の由来となった「活火山恵山」(以下、ただ「恵山」と記す)がある。
 恵山は、標高618メートルの活火山で、外輪山で繋る海向山は標高570メートルの2峰からなっている。外輪山に囲まれた平坦な箱庭のような火口原は賽の河原と呼ばれイソツツジを始めササなどで覆われている。
 恵山の植生は、亀田山脈全体がそうであるように温帯降雨林帯のブナ帯に属し、道立恵山自然公園地区を含め火山本体を除いた部分では豊かな緑に覆われている。とくにツツジ類の豊富さは特筆に値する。
 亀田山脈は、渡島半島の南の端、亀田半島にあって横津岳を主峰とし東西に繋っている。山脈の南北には、函館市、戸井町、恵山町、椴法華村、南茅部町、鹿部町があり、それぞれが山脈のどこかで境界を接している。恵山を取り巻く海は、九州の南で太平洋と日本海に分かれた黒潮が対馬海流となって北上し津軽海峡から太平洋へと流れ出ていて、太平洋を北から南下する親潮と合流し豊かな漁場を形成している。
 このため恵山町は、豊かな水産資源に恵まれ漁業中心の町として発展してきている。
 この豊かな海を保全し現在も漁業を可能にし水産動物や海鳥、とりわけ、ウ科、ウミスズメ科、カモメ科などの海鳥類の繁殖、オオハクチョウ等カモ科の鳥類の越冬を可能にしてきたところである。これらの効用を可能にして来たものに恵山を含む亀田山脈の恵みがある。
 恵山町では、2本の比較的大きな尻岸内川、古武井川があり津軽海峡へと注いでいる。
 尻岸内川は、南茅部町に接する恵山町日和山地区の各沢の水を集め海に注いでいるが、女那川地区の上流では、サケの捕獲、採卵が実施されるほどサケの遡上が見られる。また、冬から春にかけて、河口では越冬する多くの水鳥を観察することができる。このことは豊かなブナ帯の中にあって、長年に亘り植物性プランクトンを供給し続けて来た亀田山脈の恵みを忘れることは出来ない。
 古武井川は、上流部にかつての硫黄鉱山跡があり、その採掘跡から湧出する酸性度の高い水が川水に混入し魚類など水生生物の生息を許さないといわれている。しかし、本町には、日浦川の様に部落ごとに小河川、細流が流下していて、いずれもその水源は、緑豊かな亀田山脈に発していて植物性プランクトンなど陸性のエネルギーを供給している。また、植物性プランクトンの生育を助けているものに恵山の湧昇が考えられる。
 陸上で盛んに生物が繁殖する時期、河川の影響が考えられない水域でも海水が白濁するほどのプランクトンの発生が見られる。
 この時期、漁業者は、ウニ、ホッケ、アブラコ、タラ等の底生の魚介類の水揚げに精を出している。
 恵山町は、津軽海峡に面する海岸と亀田山脈に挟まれた台地上にある。各集落は前述の各河川によって隔てられているが、集落は良く発達した自然林、植林によって覆われ恵まれた環境にある。
 海岸近くの土地には、早くから和人の進出があり漁場として開けたが、山地の利用は少なく自然度の高い状態で残った。また、海岸には大小の内湾が形成されていて静穏度が保たれ、ガン・カモ類の越冬、生息に良い環境を呈している。このため夏期、繁殖のため多くの野鳥が飛来し、海岸の崖地から、草原、森林にいたるまで環境に順応、生息している。