函館市/函館市地域史料アーカイブ

恵山町史

第1編 自然

第4章 恵山をとりまく海洋

第7節 海峡と漁業

2、マコンブの生育する寒流域は立待岬まで

 コンブを育てるのは寒流の栄養塩類である。それが証拠に日本のコンブ生産量の89パーセントは寒流親潮の流域であり、残りの11パーセントもリマン寒流の影響圏内である。コンブは、日本の暖流域で全く育っていない。津軽海峡のコンブも例外ではなく、図7−12に見られるように、東側に多い。コンブは寒流系の海藻であるが、仔細にみると寒流は寒流でも、より寒い流れを好むもの、より暖い流れを好むもの、またその中間のものもある。海峡の北、函館側の主なコンブはマコンブ、ミツイシコンブ(海峡北側ではシオコシコンブという)、ホソメコンブがある。マコンブは寒暖の中間を好むが、いくぶん暖流よりの傾向があり、ミツイシコンブも中間であるが、いくぶん寒流寄りである.ホソメコンブは、はっきり暖流系のものである。
 津軽海峡は寒暖のどちらに属するかというと、明らかに暖流の海域である。対馬暖流が西側の日本海から最大7ノットの速さで東の太平洋に向かって流れているからである。一方寒流の親潮も太平洋を南下し、一部は恵山岬を回って汐首岬の近くに入ってくる。津軽海峡には水深300メートルの凹みがあり、太平洋に続いている。
凹みは矢越岬に近づくにつれて浅くなり、青函トンネルの手前で終る。この凹みを通って、重く冷い北の潮水が流れこみ、東進する暖流の反流となって岸ににじり寄っているのではなかろうか。これがコンブを育てているのではなかろうか。
 海流はコンブの分布を決める。いくぶん暖流好みのマコンブは汐首岬と立待岬間の暖流と寒流の混じる地域で、所を得たとばかりに大きな体となり、「本場折コンブ」の製品となる。あまりにも大きいので折畳まなければ取扱いが不便なので、折コンブに仕立てるのである。また恵山岬と汐首岬間の寒流地域においては、体がすくみ黒く小柄に育ち、「黒口元揃コンブ」の製品となる。小柄であるから、根元を揃えて束ねるだけでよく、折らなくてもいいのである。一方寒さ好みのミツイシコンブば、ここの寒さでももの足リなく、岸に少し生えているだけである。もちろん暖かい汐首・立待岬間では特に少ない。暖かさ好みのホソメコンブは矢越岬付近の暖流域に育つのであるが、元来暖流はコンブの生産力が低く、ホソメコンブの量もあまり多くない。これが津軽海峡北側のコンブ分布である。