函館市/函館市地域史料アーカイブ

恵山町史

第1編 自然

第4章 恵山をとりまく海洋

第7節 海峡と漁業

1、海峡の旬の魚たち

 ミズダコ(図7−8)は、海峡では秋から春に漁獲されるが、水産試験場などの精力的な標識放流の結果、青森側と北海道側を行き来していることが判明した。タコは海底を這(は)っているだけではなく、長い距離の移動にはイカと同様に漏斗(ろうと)から吹き出す海水でジェット遊泳ができる。おそらく海峡を巨大なミズダコが群れをなして泳いで渡っているのかも。寿命はおよそ4年、最大で40キログラム、脚を広げると畳4枚にもなる大きさ。ミズダコは、店頭ではオスを「ミズダコ」、メスを「マダコ」と呼ぶが、ちなみに本当のマダコは津軽海峡にはほとんどいない。たまに松前で漁獲されるが、ゆでても固いことから「イシダコ」と称している。
 10数年前に、三厩漁協の方から聞いたこんな話があったとか。春も間近のある日、白鳥の群れが北帰行の途中、浜から少し離れた沖で羽を休めていた。その白鳥たちに餌を与えている人の前で、突然驚いたように飛び立ちはじめた。その中の1羽が取り残され、羽をばたつかせ、今にも沈みそうになっていた。何と、白鳥に大きなミズダコが脚を数本からめて海中に引き込もうとしていた。残念ながらミズダコ君、見ている人たちに白鳥は助けられ、あえなく御用となったが、さすがに捕えた人は気味が悪くて食べなかったとか。