函館市/函館市地域史料アーカイブ

恵山町史

第1編 自然

第4章 恵山をとりまく海洋

第1節 日本をとりまく海洋

 地球表面の約71パーセントを覆っている海は、風によってつくられる表面の海流と、密度の差によって生じる深層海流があることがわかってきた。世界の三大洋である大西洋、インド洋、そして太平洋をつないでまるで1本のベルトコンベアに乗っているかのように循環している(〈文献2〉)、と今日では考えられるようになってきている。
 風によって発生する海流はせいぜい水深が数百メートル程度までであり、それより深いところの海水は海水温と塩分濃度によって駆動している。低温で塩分濃度が高い海水は密度が大きいために沈み込む。大西洋の北にあるグリーンランド沖では、氷山で冷やされて重くなった高塩分の海水が沈み、深層水が形成される(図1−1〈文献3〉)。この深層水は深海を通って南極まで南下する。南極でやはり沈み込んで形成された深層水と混じって、南極を時計回りに循環する。そして一部はインド洋の深層に流れ込み、わき上がってくる。また一部は太平洋の深層に流れ込み、北太平洋でわき上がる。インドネシア多島海を通り、インド洋からわき上がってきた海水と合わさって表層を通り、再び北大西洋のグリーンランド沖へと戻ってくる。これが地球規模での海洋大循環である。

図1-1 ブロッカーのコンベアベルト

 大循環にはどのくらいの時間がかかるのだろうか。グリーンランド沖で形成された深層水が、最後に表層に戻ってくるのは北太平洋である。北太平洋の深層水の年齢を炭素14法という方法によって測定した結果、1670年という結果が出ている。海水が1周するには1500年ほどかかるらしい。カリフォルニア沖やペルー沖など、深層水がわき上がってくるところは良い漁場となっている。海の動物が死ぬと沈降し、深層で分解されてケイ酸塩やリン酸塩などの栄養塩類となる。その結果、深層水には栄養塩が豊富に含まれている。栄養塩に富んだ深層水がわき上がってくると、栄養塩をもとに植物プランクトンが繁殖し、それを餌とする動物プランクトンや魚が集まる。最近では栄養に富んだ深層水をくみ上げて、養殖などに利用できないかとの計画も進んでいるとのことである。