函館市/函館市地域史料アーカイブ

恵山町史

第1編 自然

第1章 恵山町の地学的環境

第2節 渡島半島と亀田半島

 本町を含む渡島半島全域は、地質的に、北海道西南部や東北地方に発達するグリーンタフ地域に属している。この地域は、おもに新第三紀(約3,400〜500万前)の激しい海底火山活動で形成された火山岩・火砕岩と火成岩類で構成されている(図1.5参照)。そして、これら新第三紀系の基盤は、粘土岩・硬砂岩・石灰石などを主体とする先第三紀系(後期三畳紀、約3〜1億3,000万年前)からなっている(藤原・国府谷1969、吉田尚・青木1972)。先第三紀系の古期岩類は、恵山町では尻岸内川から西寄りの地域に、2つの地塊(ブロック)にわかれて分布している。

図1.5 北海道西南部の新第三系区分(高橋功 原図)

 亀田半島は、森町と函館市を結んだ線の東側地域にあたり、図1.6に示したように、恵山から丸山・横津岳・駒ケ岳などの鮮新−更新世(約500〜1万年)〜第四紀(約170万年前〜現在)の那須火山帯に属する火山が、南東から北西にほぼ直線上に配列している。この方向は、亀田半島に分布する先第三紀系のドーム構造や中新世黒松内期(約1,500〜500万年前)の集塊岩類の配列方向と一致している(秋葉ほか1966)。なお、これらの地質構成は、津軽海峡を隔てた対岸の下北半島に、非常によく似ている。亀田半島南東部にあたる本町の地形をみると、大部分は標高100〜600メートルの山地によって構成され、平坦、緩傾斜地に乏しい。

図1.6 北海道西南部の下部更新統の分布と地形区分(岡 原図)

 すなわち、平坦な段丘や冲積低地は、古武井川・尻岸内川・日浦川・原木川・矢尻川などの各河川下流域や、海岸に沿ってわずかに分布するだけである。このような地形の特徴は、岩質や地質構造に支配されているが、おおよそ次の4つの地形区に分けることができる(藤原・国府谷、1969)。
 
 (1)先第三紀の地層により構成され、多くの侵蝕谷(しんしょくこく)により開析された山地
 (2)新第三紀の地層や、火成岩類によって構成された山地
 (3)第四紀の新しい火山地帯
 (4)河川や海岸に沿って発達する冲積低地・砂丘および段丘地帯
 
 (1)の地形は尻岸内川から西寄りに局部的に分布している。侵食(開析)が著しく進み、晩壮年期の地形を呈している。
 (2)の地形は、本町の過半の山地を構成している。火成岩類の発達地域は、河川の下刻作用(かこくさよう)がさかんに行われ、急流や滝が多く、壮年期はじめの地形を呈している。他方、古武井層・絵紙山(えがみやま)層などの堆積岩地帯は、河川の侵食がおくれ起伏のゆるやかな幼年期の低平な山地となっている。
 (3)は、恵山火山地域である。この火山は、二重式の成層火山で、賽ノ河原とよばれる楕円形の火口原(長経1,300メートル、短径650メートル)を中央にもつ外輪山と、火口原南東端に生成した恵山溶岩円頂丘(海抜618メートル)、外輪山西側にそびえる海向山(かいこうざん)(570メートル)および椴山(とどやま)(御殿山)(425.1メートル)など恵山火山初期の火山体によって構成されている。恵山溶岩円頂丘の周辺には、大地獄・小地獄をはじめ多くの爆裂火口があり、硫気・噴煙を放出し、現在も活動余勢がさかんである。また、外輪山・海向山・椴山には、細かく侵食された放射谷がよく発達している。
 (4)の平坦地形は、古武井川・尻岸内川をはじめとする中小河川の流域や、海浜に沿って発達し、現河床氾濫原(げんかしょうはんらんげん)とそれより2〜8メートル比高の高い河成段丘などからなる。河成段丘面の多くは、侵食面であって分布は断続的である。
 なお、本町の海岸地帯は海食崖の発達がいちじるしく、波浪・潮流による奇岩やトンネル状になった洞門による見事な景観が発達している(写真1.2)。

写真1.2 サンタロナカセ岬の奇岩(1)


写真1.2 サンタロナカセ岬の奇岩(2)