函館市/函館市地域史料アーカイブ

函館市史 銭亀沢編

第四章 生活と民俗の地域的展開

第八節 津軽海峡域における民俗の特色

二 儀礼伝承の定着と混合

 「箱館風俗書」の八幡宮の祭礼の項には、
 
 一 八月十五日
  当所鎮守八幡宮祭礼に付、市在社家中相集り、市中神輿渡御祭日。八幡社より行列操(繰)出し、夫より御役所御門前において御祈祷相済、坂通り相下り町年寄銘々宅前において御祈祷仕候。夫より弁天町地蔵町神輿御旅所において神楽御祈祷執行仕候に付、町年寄・祭礼奉行・名主御祈祷相済候迄参詣仕来りに御座候。依之惣町四組に相成り、祭山と相唱ひ、弁天町大町内澗町・山之上町。船山・大黒山・蛭子(エビス)山、前日より八幡社内へ餝り置、当日神輿渡御の節、行列の跡に相成、山々え囃子方付、曳歩行申候。其節市在共見物群衆仕候間、町方足軽中大勢警固被申付付添へに御座候。右神輿の儀は、平日八幡社境内に納置候仕来りに御座候。此外行列次第書の儀は、定例別帳相定置候義に御座候。尚又祭礼中、町々家並毎に御神燈籠明し申候仕来りに御座候。
 一 御役所当日御礼、扶持家并御目見得町人迄、ふくさ小袖、麻上下着用、御礼申上来り候。
 
 とある。「月次風俗補拾」にも八幡宮祭礼のより具体的な記載がみられるが、興味深い点はその原注に「但し、八幡社祭礼先供の奴は、下モ在より来る也。下モ在とは銭亀沢・志のり・小安等の諸村落也」とあるように都市祭礼への銭亀沢周辺漁民の参加である。
 青森県下北地方の市町村でおこなわれている祭礼には、船山や各種の山が運行されている。これらの、山車をともなう祇園系の祭りは藩政期の日本海航路によってもたされたものであろうが、両者における船山がこの津軽海峡域の特徴ではないかと考えられる。