函館市/函館市地域史料アーカイブ

函館市史 銭亀沢編

第二章 自然環境と地域との相互連関

第三節 銭亀沢地区の海産動植物と自然環境

二 銭亀沢地区の海産動物

 回遊動物の代表は魚類とイカ・タコ類である(表2・3・3)。銭亀沢は津軽暖流と親潮寒流の両方の影響を受けていることから、季節によって来遊する種は大きく異なり、漁獲対象種の交替が著しい。冬から春の親潮接岸期には、ホテイウオ(ごっこ)、サクラマス(ほんます)、カラフトマス(あおます)、ホッケ(ろうそくぼっけ・ほっけ)、ヤリイカ(やりいか・みずいか)、ミズダコ(まだこ・みずだこ・しおだこ)などが、夏から秋の津軽暖流接岸期には、ブリ(ふくらげ・ぶり)、スズキ(すずき)、カワハギ(ちゅんちゅん)、イシダイ(しまだい)、マイワシ(いわし・ほんばいわし)、スルメイカ、テクビイカなどが漁獲される。なかでも銭亀沢を代表する魚類はマイワシであろうが、現在は資源量が少なく、かつて地曳網で大量に漁獲された賑わいはない。昭和五十年代には漁船でも獲られたが資源の減少から現在まで続いていない。当時は、夏から秋にかけ、水中灯で集魚し、消灯時にパニック状態に落ち入ったイワシの大群を大タモ網ですくいとる漁法をみることができた。
 また、銭亀沢では小型定置網漁をおこなう漁家が数軒ある。主要な漁獲種としては、四月にサクラマス、カラフトマス、ヤリイカなど、五、六月にはスズキ、ホッケ、マイワシ、ウミタナゴ、スルメイカ、テクビイカなどが水揚げされる。オキタナゴ、カワハギは大量に漁獲されるものの、魚体が小さく、生鮮および加工の用途がないため、そのまま海上で捨てられることが多い。
 底刺網漁では、クロソイ・キツネメバル(まぞい)、ゴマゾイ(ながらぞい)、エゾメバル(がや)、メバル、ヤナギノマイなどのメバル類、アイナメ(あぶらこ)やエゾイソアイナメ(どんこ)、大型のホッケ(ねぼっけ)、ウミタナゴ(たなご)、オキタナゴ(ととぐち)、トゲカジカ(なべこわし)、ホテイウオ(ごっこ)、マガレイ、スナガレイ、イシガレイ(いしもち)などのカレイ類が水揚げされる。珍しい魚種では、マダイ(たい)、クロダイ(ぎんだい)などの南方系種、キアンコウ(あんこう)などの深海魚も漁獲される。また、アブラツノザメ(あぶらざめ)は冬場の南下群が刺網にかかり、価格が高いときに販売される。皮を剥いたサメの肉(むきさめ)はみそ田楽やかまぼこの原料にされ、刺し身で食べる場合もあるという。夏場のサメは価格が安く、網を破って被害を与えるので船上で捨てられることが多い。
 スルメイカはマイワシ、マコンブと並び、かつての銭亀沢の主要な漁獲物であった。昭和五十年代がスルメイカ漁の最盛期で、四〇隻ほどの木造船で賑わい、一隻一晩の水揚げが五、六〇〇万円もあったというが、現在の銭亀沢所属のイカ釣漁船は一八隻に減っている。魚価安に加え、漁船、イカ釣機などの設備投資や燃油、魚箱などの経費高騰で採算が厳しいという。

表2・3・3 銭亀沢で漁獲される主な魚類およびイカ・タコ類