函館市/函館市地域史料アーカイブ

函館市史 亀田市編

[亀田市編]

第二章 大地にいどむ

第四節 村々の行政

一 亀田番所と亀田奉行

 元禄四年次のような「定」が発せられた。
 
  亀田
     奉 行

  箱館
          定
  一 蝦夷え非分の義申懸間敷旨能々可申付候。并夷地え盗買船行候段聞届候はば其旨早々松前え可申越候事。
  一 公事訴訟少も無依怙贔屓裁許、其次第具可申越候。一分了簡不及義は松前え申遣可差図候。
     附、軽き科人追放の節、様子町奉行方迄申越可相談候事。
  一 切支丹宗門改の時分、念入候様名主五人組共に能々可申付候事。
  一 博奕賭の諸勝負堅法度可申付候。并盗賊、悪党者有之節、急度遂穿鑿、其品町奉行所迄可申越候事。
  一 他国船破損の節、船道具以下紛失無之様申付、船頭水主共え米等令助成、松前え可差遣候事。
  一 昆布取場え他国より直ニ船来候はば人遣、其船留置、様子早々可申越候。若又松前え商売運送の船逢難風、其辺え着岸候はば様子聞届、其旨可申越候事。
  一 亀田より知内迄釘合船所持候はば改、町奉行無断船は不自由様ニ可申付候。他国え商売ニ出候刻松前沖口奉行より切手取出候様可申付候。右の船帰候節は松前え乗来、切手沖口奉行え相返候様可申付候事。
  一 ゆふらつぷ、お志やまんべより海陸荷物持運候義堅令停止旨在々徘徊の商人共え急度可申触候。若令違背者候はば早々可申越候事。
  一 自他国の者、奉行、名主え無断有付候はば其村払可申候。自然国所不分明、渡世の営無之様子疑舗者子細相尋、町奉行迄可申越候事
  一 亀田村諸所務役年々無遅々相納候様可申付候。并新世間ニ成候者、五年宛諸役可赦免候事。
  一 支配の村々百姓壱人も他村え有付間敷候。惣て跡目無断絶様可申付候事。
  一 昆布時分より早く新昆布商売候義堅令停止候。
   附 五年も捨置候畑地は新世間の者共ニまかせ可申候。畑作仕廻候はば面々在所え出、越年候様急度可申付候事。
  一 屋作、衣服、飲食等ニ至迄倹約可相守旨百姓共え能々可申付候事。
  一 親類ニ逢候とて他国より来候者有之候はば其者帰候節松前え遣し可相返候。若当領内の百姓親類ニ逢候とて他国行候はば子細相尋可差遣候事。
  一 毎年極月年取商人年季は金穿其外旅人改申付候。并亀田、知内の中何方より船来候共間役帆一端ニ付五拾銭宛可申付候。流船の証拠有之、其段申披候はば早々帰帆候様可申付候事。 
 右之趣急度可申付者也。
     元禄四未年四月                  墨印
 
 この法令によって元禄四(一六九一)年亀田奉行の職務が次のようになっていたことがわかる。
 
 一 蝦夷地における不法行為ならびに密交易の禁止
 二 公事訴訟問題と軽罪人の処置
 三 キリシタン宗門改
 四 賭博の禁止と犯罪人の摘発
 五 遭難船救助のこと
 六 昆布漁取締、密売買禁止と商船緊急入港の取扱い方
 七 亀田から知内までの釘合船改と無届船の取締
 八 ユーラップ、オシャマンベよりの商人による荷物運送の禁止と商業行為の取締
 九 他国者の無断入国禁止
一〇 亀田諸村諸役取立と新世間者の五年間諸役免除のこと
一一 百姓の移動取締
一二 昆布密売禁止と百姓の耕地使用方法
一三 質素倹約の奨励
一四 出入国者の取締
一五 商人、金穿旅人改めならびに亀田、知内より入港の船への間役(入港税)のこと
 
 以上であるが、この法令の文中から、亀田奉行の職務は、最初のころの知内以東の一般行政および出入国船からの徴税、取締といった内容から、蝦夷地内における商人の取締、昆布密漁、密売禁止、キリシタン宗門改め、訴訟や軽科人の処置などまで業務内容が拡大され、更に五人組の制度まで行われている。最初は単なる関所的な仕事をしていたが、この法令が出たころになると、種々の権限を有する松前藩の出先機関としてこの地方を治めるまでになっていたのである。
 このように充実されたのは、亀田港の発展と松前藩の行政組織の確立化によるものであろう。