函館市/函館市地域史料アーカイブ

函館市史 通説編2

第2巻 第4編 箱館から近代都市函館へ

第13章 社会・文化諸相の光と影

第5節 日露戦争と函館

2 戦時下の市民生活

 この同じ2月5日、第七師団に「第七動員」令が下り、これにともなって大追尚敏師団長より蒲団945枚、枕468個を2月7日正午までに函館要塞砲兵大隊へ差出すこと、との徴発命令が下った。このため区役所で「臨時戦時事務取扱」を命ぜられていた河田猪三郎以下6名の書記が徴発物品の納付に奔走している。さらに2月8日、今度は函館要塞司令部より、要塞警備のために来函する守備隊を収容するための宿舎設営の要求があり、7名の書記は徹夜で「区内ヲ甲乙丙丁戊ノ五部ニ分割シ民家百三十八戸ヲ以テ宿舎ニ充用スル」業務を行なった。これらの宿舎は「普通ノ民家ニシテ防寒用具其他ノ備ナキニ依リ之レカ欠点ヲ補足シ軍隊ヲシテ不便ヲ感セシメサラントシ相当ノ設備ヲ為」したが、「其費用ハ区内有志者ノ寄付金」に全面的に依存していた。因にその金額は、2月11日までに、3007円に達したという。
 いずれにしても、こうした寝具や民家の「徴発」は、函館区民の日常生活に一定の影響を与えたことは疑いない。というのは、これらの徴発物は区内の一般市民からの提供に頼っていたため、後にその返還に際しては、次のような事態が生じ、関係者は苦慮している。
 
(五月)二十日、軍隊宿舎用ノ寝具以下供給品ヲ所有者ヘ還付スルコトハ、本日ヲ以テ大略終了セリ。中ニハ寝具ノ紛失セル為メ還付シ能ハサルモノアリ。又ハ最初借入ノ際付着シアリタル印布ノ剥落セル為メ、還付シ能ハサルモノアリ。依テ紛失ノ分ハ軍隊需用品購求費トシテ寄付セラレタル金員ノ内ヲ以テ購入シ、新旧ヲ合セ抽籤ヲ以テ差出人ヘ還付シ、以テ寝具還付処分ノ一段落ヲ告ケタリ。