函館市/函館市地域史料アーカイブ

函館市史 通説編2

第2巻 第4編 箱館から近代都市函館へ

第13章 社会・文化諸相の光と影

第2節 マス・メディアと活字文化

1 函館新聞の発刊

 発刊回数は最初2、7の日で月6回だったが、11年7月から隔日刊となった。しかし翌12年の大火に類焼し発刊回数を月10回さらに6回へと減じたが、青森に仮分局を置き青森新聞社の機械を借りて印刷を続けるなどして発刊を継続、13年6月からは再び隔日発刊となり、18年4月からは日刊紙となった。
 表13-10 明治11年10月函館市中販売新聞購読料
新 聞 名
発刊地
購 読 料
発刊
回数
1か月
3か月
函 館 新 聞
読 売 新 聞
東京日日新聞
朝 野 新 聞
東京絵入新聞
郵便報知新聞
函館
東京
東京
東京
東京
東京
17銭
35〃
95〃
75〃
35〃
93〃


2円55銭
2〃10〃

2〃45〃
隔日
 〃
日刊
 〃
 〃
月 5

 売り捌き所:修文堂
 明治11年10月22日付「函館新聞」広告より作成
 
 価格は創刊時は1部1銭2厘(月極め7銭)だったが、14年11月から多少紙面を拡張して1部1銭5厘(月極め21銭)と値上げ、日刊紙となった18年からは月極めで33銭となった。なお函館新聞発刊当時の新聞売り捌き所修文堂の広告から購読料をまとめたのが表13-10である。中央の新聞に比べ函館新聞は低価だが、区民にとっては決して安いものではなかった。では創刊当時どのようにして定期購読者を獲得していったのだろうか。『初代渡辺孝平伝』によると、まず3000部ほどを印刷して相当の家に配達し、3か月ほどたってから代価を徴収に歩き、払ってくれた人を購読者とみなしたということである。
 「諸願届書」と「函館新聞売捌調」で創刊以後の売り捌き地と売り捌き数をまとめてみると表13-11のようになる。売り捌き地は道内各支庁をはじめほぼ全国各地にわたっているが、部数ではやはり道内が主で、特に渡島地方(ほぼ函館と思われる)で6割前後を占めている。ほかに東京府下の在留外国人やアメリカの日本公使館にも数回送られており、15年にアメリカで刊行された『Hubbard's Newspaper and Bank Directory of the World』という世界の新聞や銀行を紹介した雑誌には、函館新聞が日本の新聞として唯一掲載されている。
 また前掲表13-11より部数1000部以上の地方を拾ってみると、函館との経済関係を反映し、本州では東京や大阪をはじめ青森・秋田・新潟・宮城などの東北・北陸各県と、道内では後志・根室・日高・胆振支庁など太平洋側の各地方に購読者が多かったことがわかる。
 
 表13-1 函館新聞売り捌き地別売り捌き部数

発刊回数
11年
(36)
13年
(177)
14年
(178)
15年
(178)
16年
(178)
東京府下 5,962 11,093 16,009 14,849 13,938
同府在留外国人     36
京都 36 168 233 214 212
大阪府 479 1,194 1,512 1,373 1,156
神奈川県 771
三重県 106 164 230 203 171
群馬県 173 231 209 190
島根県 181 238 218 252
埼玉県 36
宮城県 106 1,913 2,170 1,921 324
茨城県 167 230 211 189
岩手県 306 698 850 793 976
千葉県 353 450 399 367
山形県 340 173 226 206 206
愛知県 536 640 563 2,812
秋田県 72 2,613 3,420 3,196 3,145
 県 172 230 187 222
青森県 638 6,591 8,123 7,617 7,556
石川県 140 879 1,072 944 923
福井県 683 855 786 799
富山県 53 636 564 428
熊本県 221 205 224
広島県 36 171
岡山県 71 686 888 796 725
高知県 67 318 443 391 422
愛媛県 39 673 810 751 902
大分県 36 175 208 167 158
滋賀県 503 703 625 530
長崎 71 171 220 201 249
兵庫 323 462 451 331
鹿児島県 33 176 228 210 219
新潟 322 1,787 3,008 2,913 3,105
山梨県 70 179 220 160 270
開拓使管内(支庁別)
渡 島 33,915 224,111 246,431 229,233 223,046
石 狩 2,921 4,792 5,446 5,135 5,470
後 志 3,140 35,529 47,859 44,900 46,842
手 塩 1,028 3,220 4,167 3,871 3,638
胆 振 1,131 6,028 8,111 7,639 7,743
日 高 1,234 6,450 8,421 7,805 7,651
十 勝 103 2,096 2,422 2,263 2,539
根 室 1,231 11,203 16,997 15,842 16,176
釧 路 463 3,819 4,910 4,511 4,886
北 見 218 726 550 417
千 島 245 187 324
合衆国日本公使館  - 14 105
総  数 54,939330,915390,501363,273359,748

 「諸願届書」「函館新聞売捌調」より作成
 11年のみ半年分でほかは1年分の売り捌き部数
 出典では13~16年の後志国は函館県と札幌県に分かれているが、ここでは合算してある。