函館市/函館市地域史料アーカイブ

函館市史 通説編2

第2巻 第4編 箱館から近代都市函館へ

第13章 社会・文化諸相の光と影

第1節 公娼制度と函館の遊里

5 授産施設女紅場の開設とその機能

 設立に関する諸経費を計上したが実際の賦金収入は予定よりも少なく、開設予算の立て直しをした函館支庁は、10年末、再度「積金モ既ニ五千余円ニ及ヒ、目下人民該場設立ヲ希望致シ」と女紅場開設の件を提出、担当官吏村尾元長を上京させた(前掲「開公」5830)。村尾が上京の際に携えた「女紅場着手順序提綱」には、おおよそ次のようなことが書かれていた。
 
一、函館に開設しようとしている女紅場は、芸娼妓へ裁縫そのほかの婦女日用欠くことのできない工芸を教授する所であるが、彼女らは遊芸浮業をもって今日まで光陰を送ってきた者たちなので、互いに教授して利益を求め大いなる効果を求めることは不可能である。故に、入り易くし成果は漸次に期待するようにするのが望ましい。
一、学業上のことは緊要なことではあるが、函館の婦女子は他の地方に比べ裁縫に通じる者が少なく、この施設は浮業者が正業に就くための基を開くためのものなので、まず第一期(一か年)は裁縫を主とする。
一、役員はすべて本籍人で老実端正な人物を選任する。
一、建物についてはいずれ新築するものとし、とりあえずは蓬莱町小島重兵衛の居宅と土地が提供されているので、それを四〇〇〇円で購入、内二〇〇〇円は積み金で、残り二〇〇〇円は官金を借り一〇か年賦で賦金から支払っていきたい。
一、女紅場で出た益金は収入予算には入れず該場の充実のために使い、あくまでも該場の経費は賦金で賄い、他から一切仰がない。

 
 函館支庁としては、「遊芸浮業」をもって日を送ってきた芸娼妓たちなので即効性は期待せず、とりあえずは日用欠くことのできない工芸(裁縫が主)を習得させようとしたのである。