函館市/函館市地域史料アーカイブ

函館市史 通説編2

第2巻 第4編 箱館から近代都市函館へ

第10章 学校教育の発生と展開

第5節 教育団体の結成とその活動

2 函館教育協会の組織

 さて、明治14年11月に制定された函館教育協会の規則を、まず引用しておこう。みられるように、この規則は全13条から成っていた。
 
    函館教育協会規則
第一条  本会ヲ名ケテ函館教育協会ト曰フ
第二条  本会ハ同志者結合シテ教育上ノ事理ヲ講究スルヲ目的トス
第三条  此会則ヲ遵守スル者ハ何人ヲ問ハズ入会ヲ許スベシ
第四条  会員ヲ二種ニ分ツ、其函館ニ在ル者ヲ常会員ト称シ他ノ地方ニ在ル者ヲ各地会員トス
第五条  常会員ハ本会ノ目的ヲ暢達センガ為メニ毎月二回相会シテ事務ヲ議定シヌハ討論演説シ兼テ各地会員ヨリ照会ノ事件ヲ審議回答スベシ
第六条  各地会員ハ学事ノ状況論説等ヲ本会ニ通報シ且ツ本会ヨリノ照会ニ回答シ其他第七条第八条ヲ除クノ外此規則ニ遵フベシ
第七条  常会員中公選ヲ以テ左ノ役員ヲ置キ各其事務ヲ負担セシム
       長  一名 本会一切ノ事務ヲ総理ス
       副長 一名 長ノ職ヲ助ケ長事故アルトキハ之ヲ代理ス
       幹事 二名 庶務及ヒ会計ヲ負担ス
       書記 二名 記録文書ノコトヲ司ル
第八条  役員ノ任期ハ凡テ半年ト定メ毎年六月十二月改撰スルモノトス、但シ前任ノ者ヲ再撰スルヲ得
第九条  一地方ニ於テ其会員拾名以上アルトキハ分社ヲ設ケ適宜役員ヲ置クヘシ
第十条  入会又ハ退会セント欲スル者ハ之ヲ会長ニ申出テ其承諾ヲ受クヘシ、但シ分社アル地方ハ其社長ニ於テ入退会ヲ許シ毎月末本会ニ通報スベシ
第十一条 本会ニ於テ討議弁論セシ要件年報并ニ各地ノ通報等ハ当分ノ中北海道学事新報ニ登録シ各会員ニ配附スベシ                                   
第十二条 本会ヲ保持センカ為常会員ハ会費トシテ毎月金拾五銭、各地会員ハ金拾弐銭ヲ幹事ニ差出スベシ
第十三条 何ノ地方ヲ問ハズ本会ト同一ノ目的ヲ以テ設立シタル各社ト連合スベシ其連合シタル各社ハ互ニ第六条ノ事件ヲ交通スベシ
(『北海道学事新報』第六号)

 
 この協会規則には、まもなく附則と会場規則が追加された。『北海道学事新報』第9号(明治15年2月11日発行)によれば、全3条の附則は次の如くである(『沿革誌』により一部訂正)。
 
    函館教育協会附則
第一条 会長ノ意見ヲ以常会員ヲ数組ニ分チ毎組ニ組長一名ヲ公撰セシメ伝達等ノ事ヲ掌ラシムルコトアルヘシ
第二条 常会員ノ会費ハ毎月第一ノ会日之ヲ幹事ニ差出スヘク各地会員モ可及的当日迄ニ送付スヘシ、但数月分ノ前金ヲ一時ニ差出シ置クモ妨ケナシ
第三条 幹事ハ常会員各地会員ヲ問ハス会費ヲ請取タルトキハ本会ノ割印及幹事印ヲ捺シタル領収証ヲ公布スヘシ

 
 以上からも明らかなように、「同志者」が「結合シテ教育上ノ事理ヲ講究スル」こと(第2条)を目的とする函館教育協会は、「函館」という固有の地域名を付した教育団体であるにもかかわらず、会員を函館在住の「常会員」と地方在住の「各地会員」とに区別し(第4条)、「各地会員」が10名以上の場合には「分社」の設置を認めるなど(第9条)、広く全道の教育関係者に門戸を開いた組織であった。「此会則ヲ遵守スル者ハ何人ヲ問ハズ入会ヲ許スベシ」(第3条)という条項は、こうした教育協会の基本的性格を端的に示すものである。
 その後この規則は、17年10月大幅に改正され、全25条に増加した。例えば会員は、「常会員」、「賛成会員」、「名誉会員」の3種とされ(第6条)、また役員の中に「地方幹事」を設けたほか(第12条)、その任期も1年に延長されている(第14条)。しかし、会の名称と目的に関しては、最初の規則の第1条と第2条が、この改正によって逆になったのみで全く変化はない。そして、この改正によっても、地方会員による「分会」の設置は認められていたのである(第19条)。