函館市/函館市地域史料アーカイブ

函館市史 通説編2

第2巻 第4編 箱館から近代都市函館へ

第10章 学校教育の発生と展開

第3節 中等教育と女子教育

2 商業学校と尋常中学校の開校

 32年4月函館尋常中学校は函館中学校と改称された。併設されていた商業専修科は「中学校令」の主旨により在学生の卒業をまって廃止することになったが、函館の場合は「右例外ノ認可ヲ得テ設置ノコトニナセシ」(32年7月開校式の「校長告辞」『函商百年史』所収)ということで、継続が認められた。しかし新入生を受け入れる余地もなく、さらに継続するためには学校として独立するしかないと判断した事務代理者の松本中学校校長は、商業専修科を学校として独立することを請願した。商業会議所からの文部・内務両大臣への建言もあり、この件は認可となり、とりあえず中学校の教室を借り、実業学校として「函館商業学校」が急遽独立・開校することになったのである。
 こうして函館中学校商業専修科は32年6月30日限りで廃され、同日より新たに「函館商業学校」が開校した。校舎・校具器具類はそのままだが中学校の1科から「商業学校規程」の甲種商業学校(修業年限3年、14歳以上の4年の高等小学校卒業あるいは同等の学力の者)の程度に属する学校として独立したのである。なお開校式の「校長告辞」(同前)で松本校長はこの経緯について詳細に語り、さらに校舎などの将来の見通しについて「中学校ヲ新築シテ本校舎ヲ商業学校トスベキヤ、将タ別ニ商業学校ヲ新築スヘキヤ…只将来両三年ノ中ニハ何レノ方法ニ依ルヲ問ハス、必ス一新営事業ノ起ルアルヘキヲ信ジ此方向ニ向テ尽砕センコトヲ茲ニ諸君ニ誓フ」と語っている。
 32年6月制定の「函館商業学校規則」によると、教科は予科と本科に分かれ、予科は本科に入るための準備期間で修業年限2年、本科では商業に関する専門と応用を教授し修業年限3年、さらに本科卒業者には専攻科1年の学科もあった。入学資格は、予科は高等小学校2年卒業または12歳以上で試験に合格の者、本科は中学2年修了あるいは修業年限4年の高等小学校卒業で試験に合格した者または14歳以上で予科全科の試験に合格した者となっている。
 こうして商業都市函館での中等教育としての商業教育は、断絶することなく続けられ、函館の高等小学校の卒業生には、普通教育の中学校と、実業教育の商業学校の2系統の中等教育の道が開かれたのである。