函館市/函館市地域史料アーカイブ

函館市史 通説編2

第2巻 第4編 箱館から近代都市函館へ

第9章 産業基盤の整備と漁業基地の確立

第2節 諸工業の発展

1 函館船渠会社の成立

 創業総会の議案は、創業費の承認、広井技師その他へ謝議、定款確定、取締役・監査役の人員及び報酬、最後が役員選挙であった。総会の模様を6月14日付の「中外商業新報」は次のように報じている。
 
府下の渋沢栄一、大倉喜八郎、北海道の渡辺熊四郎、阿部興人、大阪の藤田伝三郎、鴻池善右衛門諸氏を始め、京都府及び神奈川県、兵庫県、青森・愛知・富山五県の有力者数十名の発議に係る、函館船渠株式会社発起人会は、昨十三日午後三時頃より銀行集会所に於て創業総会を開き、創立委員長渋沢栄一会長席に着き、先づ創業事務を報告し、仮定款の修正点を議定し、創業費を承認し、次に発起人より函館区長に差出したる船渠敷地払下の出願に対し、同区長より払下を許可すべき旨指令したるを以て之を報告し、次に取締役及び監査役を選挙したるに左の諸氏当選し、午後五時三十分散会せり
取締役 渋沢栄一 大倉喜八郎 園田実徳 阿部興人 平田文右衛門
監査役 田中市太郎 浅田正文 小川為次郎

 
 創業総会の後、11月九日に会社設立免許書が下付され、11月13日道庁を経て免許書の請書が差出された。そして、創立委員から事務の引渡を受け、会社機関が成立したのは、明治29年12月2日であった。