函館市/函館市地域史料アーカイブ

函館市史 通説編2

第2巻 第4編 箱館から近代都市函館へ

第3章 北海道庁設立と自治制への歩み

第1節 北海道庁設置に伴う行政機構

1 3県から1庁制へ

 函館と根室の元県令(函館県令時任為基、根室県令湯地定基)は道庁の理事官となり、そのまま両支庁の支庁長の任に就き、本庁と同じ3月1日から事務取扱いを開始した。但し時任為基理事官が正式に函館支庁長に任命されたのは6月1日で、庁務は次長の堀金峰道庁理事官が代理を勤めていた。ただこの支庁制は3県の事務をスムーズに引継ぐため仮に設けられたもののようである。先の北海道庁官制中職員の項には、長官、理事官、属の職員(一般職)から警察官(警部長、警部、警部補)、郡区官(郡区長、郡区書記)、集治監を引継いだ監獄官(典獄、副典獄、書記、看守長)、北海道事業管理局の技術職を引継いだ技術官(技長、技手)、農学校の教育者である学務官(農学校長、農学校幹事、農学校教授、農学校助教)までその職掌が定められているのに、支庁長の名はない。2月22日に至って道庁分課、支庁分課が制定されたが、一般分課においては本庁に土木課が独立して設けられた以外、事務分掌は、表3-1のごとく本庁と支庁が全く同じである。
 この時、別に支庁官制が制定され、「本道庁各支庁官制左ノ通制定ス」との達書のもと、ようやく支庁長、次長、属の職掌が定められているが、翌3月12日にはわざわざ達書を出し「当分」の文字を加え「本道庁各支庁官制当分左ノ通制定ス」と修正しているほどである。このことは北海道庁開庁から10か月後に実証されることになる。北海道庁になってから始めての官制改正を実施した同年12月28日、閣令第37号を以て両支庁が廃止され、主要業務は本庁に収束、その他の事務は郡区役所に任せる体制となった。岩村長官が標榜した冗費節減、事務の簡易化を目指した改革であった。支庁長時任為基は宮崎県知事(勅任官2等下級俸…3500円)に転出した。
 
 表3-1 北海道庁本庁事務分課
課名
事務分掌
長官附理事官4人、長官ニ専属
庶務課官印管守機密文書及職員進退黜陟、統計、官報、報告記録
文案起草文書授受及各課呈出回議審査、教育
他ノ課部二属セザル事務
租税課租税徴収及予算決算、地籍及地券
勧業課殖民開墾製造運輸及物産販売、農工商及漁猟牧畜其他営業
銀行会社専売特許及商標登録
土木課河港道路排水橋梁堤防溝渠、官舎倉庫建築修繕
土地及気候測量并地図編製、森林鉱物
会計課経費ノ予算決算及金銭出納、建物物品及其他財産ノ管理
物品購買及交付、貸与金及諸公債
警察本署警戒検察及消防、未決已決囚ノ監護、戸籍衛生病院及墳墓
徴兵恩給及扶助
集治監集治監ノ監護
屯田兵本部屯田兵ノ配置及授産、屯田兵編成及非常警備
  ※明治19年3月12日屯田兵本部を削除
炭鉱鉄道事務所煤炭ノ掘採及販売、鉄道事業
紋鼈製糖所甜菜糖ノ製造及販売
農学校農学士養成
  ※明治19年3月12日追加

 
 函館支庁分課
課名
課長名
分掌事務
元函館県の担当課(係)
庶務課村尾元長官印管守機密文書及職員進退黜陟
文案起草文書授受及各課呈出回議審査
統計、官報、報告記録、教育
他ノ課部二属セザル事務
庶務課(職務係、調査係)
記録係、学務課
租税課野沢房迪租税徴収及予算決算、地籍及地券
土地及気候測量并地図編製、森林鉱物
収税課、地理課
出港税係
勧業課二木彦七殖民開墾製造運輸及物産販売
農工商及漁猟牧畜其他営業
銀行会社専売特許及商標登録
勧業課
七重農工事務所
会計課石井広正経費ノ予算決算及金銭出納
建物物品及其他財産ノ管理
物品購買及交付、貸与金及諸公債
土木営繕
出納課、土木課
警察本署山内久内
(警部長)
警戒検察及消防、未決已決囚ノ監護
戸籍衛生病院及墳墓、徴兵恩給及扶助
警察本署、衛生課、庶務課
(戸籍係)、兵事課

 明治19年2月22日制定道庁事務分課『明治十九年函館支庁布達々全書』、「函館新聞」より作成