函館市/函館市地域史料アーカイブ

函館市史 通説編2

第2巻 第4編 箱館から近代都市函館へ

第2章 開拓使の設置と函館の町政

第3節 町政の展開

2 三大区制

 亀田上磯茅部の3郡及び胆振の山越郡に大小区制が導入されたとき、開拓使函館支庁が管轄する区域は、前記の各郡の外に後志国の磯谷、歌棄、久遠、奥尻、太櫓、瀬棚、島牧、寿都の8郡と渡島国で旧館県管轄であった津軽、福島、爾志、檜山の4郡であった。しかし、この内旧館県管轄の4郡は、青森県に併合されていたときに区画の設定が行われており、後志国の各郡は、その他の郡が札幌本庁管下であったので、本庁との調整を意識してか大小区の設定が見送られたようである。
 その後開拓使は大蔵省から戸籍表に関して1郡1大区制との指摘を受けた。函館支庁は管轄地全域の大小区制を企画し、明治7年3月、渡島国7郡を7大区とする取調書と後志胆振両国の区画割については札幌本庁に依頼する旨の書面を札幌本庁に送った。この年の2月に本庁管下(石狩後志胆振3国)に大小区を設定し、各支庁に区画設定を勧めていた札幌本庁は、4月、「当方於テ異存無之候間、御見込ノ通御確定相成可然被存候」と函館支庁の企画を了承し、且つ後志胆振の区画は札幌本庁で行う旨回答した。そこで函館支庁は翌5月、渡島国の大小区更正表(表2-26)と管内布令案を添付して、東京出張所に指示を仰いだ。
 
 表2-26 渡島国大小区更正表
渡島国亀田郡第1大区
1小区
2小区
3小区
4小区
5小区
松蔭町 常盤町東側
梅枝町 芝居町東側
花谷町 愛宕町
天神町1丁目
仲新町1丁目
富岡町1、2丁目
元町1丁目の内
茶屋町 常盤町西側
坂町
片町   船見町東側
天神町2~4丁目
仲新町2丁目
山上町1~4丁目
上新町1丁目
下新町1丁目
神明横町
鍛冶町 元新町
駒止町 山背泊
台町   船見町西側
天神町5、6丁目
仲新町3丁目
山上町5丁目
下新町2丁目
会所町 上大工町
南新町 下大工町
青柳町 上汐見町
春日町 下汐見町
相生町 元町1、2丁目
谷地頭町 尻沢辺
住吉町   柳町
浦町    赤石町
蔭町
6小区
7小区
8小区
9小区
10小区
鰪澗町 鰭横町
仲町   神明町
弁天町 西浜町大黒町大町   仲浜町
七軒町 喜楽町
内澗町 東浜町
11小区
12小区
13小区
14小区
15小区
地蔵町1~3丁目
恵比須町 掘江町
船場町   蓬莱町
亀若町
地蔵町4~6丁目
汐止町 蔵前通
豊川町 真砂町
船場町
龍神町 西川町
大森町 東川町
鶴岡町 若松町
高砂町 音羽町
海岸町 富沢町
大縄町
16小区
17小区
18小区
19小区
20小区
亀田村 鍛冶村
神山村 赤川村
下湯川村 上湯川村
鷲巣村   深堀村
銭亀沢村 石崎
志苔村   亀尾
石川村 桔梗村
大川村 中島村
七重村 飯田村
城山村 藤山村
軍川村
21小区
22小区
以上村数30村
注 青文字は現函館市域の村
大野村   千代田村
一本木村 文月村
鶴野村
市渡村 本郷村
嶺下村 宿野辺村

渡島茅部郡第2大区(1~3小区) 村数14村
1小区
2小区
3小区
小安村   戸井村
尻岸内村 椴法華
村 尾礼辺村
臼尻村 鹿部村
砂原村 掛澗村
尾白内村 森村
鷲木村   落辺村

渡島国上磯郡第3大区(1~3小区) 村数17村
1小区
2小区
3小区
有川村 戸切地村
中野村 濁川村
清水村
吉田村   三谷村
三好村   富川村
茂辺地村 当別村
三石村   釜谷村
泉沢村   札苅村
木古内村 瓜谷村

「開公」5790より作成
渡島国福島郡第4大区(1~3小区)  村数6所、支村4所
渡島国津軽郡第5大区(1~17小区) 福山町数31町、同在村13所、支村1所
渡島国檜山郡第6大区(1~9小区)  町数24町、村数21所
渡島国爾志郡第7大区(1~4小区)  村数8所、支村3所
計 7大区61小区

 
       管内布令案
今般当管下渡島国亀田郡ヲ始一郡ニ大一区ヲ置、後志胆振両国モ右ニ准シ三ヶ国ニ而拾六郡ヘ大区十六ヲ置、小区六十一ニ区分シ、別紙ノ通更ニ改正候条、此旨布達候事
  明治七年五月四日  開拓中判官  杉浦誠        (「開公」五七九五)

 
 東京出張所は6月13日、「大蔵省の意見は戸籍表調査に関することだけでの指摘で、地方制度全般を見通したものでないので、拘泥する必要はなく、市街村邑の形况と人口の疎密により区画するのが筋と思われるので、函館の如き人口稠密なる地方は別に大区を設定し、人口稀少之場所は郡を併せ一大区としても良い」と述べ、札幌本庁と打合せの上「調査有之度、尤モ全道同軌ニ相帰候様致度候」と函館支庁の企画を差し戻した。その上、「速達可致事柄ニ付、自今ハ次官殿ヘ稟議之上御処分有之度此段共申進候也」(「開公」5795)と、いわば函館主導で札幌との間で話をまとめ、事後承認のように開拓次官の決裁を仰いだことに対して、今後は事前に決裁を仰ぐよう指示したのである。
 このため、札幌本庁を中心に見直し作業が進められ、明治9年9月、表2-27(幕末以来の函館支庁管轄地を詳記)のような大小区画改定が実施された。やはり東京出張所の指摘の通り1郡1大区制は見直され、人口の疎密を考慮した大区制となっている。大区設定順に札幌本庁中心の色が濃く出ており、本庁のある石狩国が第1、第2大区、次いで西海岸を南下して(第3~13大区)、函館を過ぎて東海岸を北上する形(第17~30大区)をとっている。渡島国は、7年の函館支庁企画では函館を基点にほぼ時計回りで大区を設定していたのが、まったく逆回りに設定されていたのである。また、函館市街は亀田郡と切り放して元のごとく3大区(14、15、16大区)とし、函館市街を除く亀田郡と上磯郡については、小区数は減らし1小区の規模を大きく設定している。後志国の8郡は各4郡ごとに大区を設定し、渡島国津軽郡は17小区もありながら1つの大区のままで、その他の郡も明治7年企画のまま実施された。
 
 表2-27 全道統1大小区画表(明治9年9月改定)
第1大区(石狩国札幌郡)1~6小区 17村と21町
第2大区(石狩国石狩上川樺戸雨竜空知夕張厚田浜益の8郡)1~6小区 20村と11町(上川~夕張の5郡は村落未置)
第3大区(後志国小樽高島の2郡)1~6小区 9村と23町
第4大区(後志国忍路余市の2郡)1~6小区 12村と2町
第5大区(後志国古平美国積丹の2郡)1~6小区 19村と2町
第6大区(後志国古宇岩内の2郡)1~5小区 12村と7町
第7大区(後志国磯谷歌棄寿都島牧の4郡)1~8小区 33村
第8大区(後志国瀬棚太櫓久遠奥尻の4郡)1~4小区 22村
第9大区(渡島国爾志郡)1~4小区 8村
第10大区(渡島国檜山郡)1~9小区 20村と27町
第11大区(渡島南津軽郡)1~17小区 13村と33町
第12大区(渡島国福島郡)1~3小区 6村
第13大区(渡島国上磯郡)1~2小区 17村
1小区
2小区
木古内村 釜谷村
瓜谷村   三石村
札苅村   当別村
泉沢村   茂辺地村
富川村   有川村
三好村   中野村
吉田村   濁川村
三谷村   清水村
戸切地村

 
 第14、15、16大区(渡島国亀田郡 函館市街)各1~5小区 各39町、12町、22町
1小区
2小区
3小区
4小区
5小区
14大区松蔭町 常盤町東側
梅枝町 芝居町東側
花谷町 愛宕町
天神町1丁目
仲新町1丁目
富岡町
茶屋町 常盤町西側
坂町   芝居町西側
片町   船見町東側
天神町2~4丁目
仲新町2、3丁目
山上町1~4丁目
上新町1丁目
下新町1丁目
神明横町
鍛冶町 元新町
駒止町 山背泊
台町   船見町西側
天神町5、6丁目
仲新町4、5丁目
山上町5丁目
上新町2丁目
下新町2丁目
元町   会所町
南新町 上大工町
青柳町 下大工町
春日町 上汐見町
相生町 下汐見町
谷地頭町 尻沢辺
住吉町   柳町
浦町    赤石町
蔭町
15大区鰪澗町 鰭横町
仲町   神明町
弁天町  西浜町
幸町
大黒町大町 仲浜町 内澗町 東浜町
16大区地蔵町1~3丁目
恵比須町 堀江町
船場町   蓬莱町
亀若町
地蔵町4、5丁目
汐止町 蔵前町
宝町
鶴岡町 若松町
高砂町 音羽町
海岸町 富沢町
大縄町
豊川町 真砂町龍神町 西川町
大森町 東川町

 
 第17大区(渡島国亀田郡 除函館市街)1~4小区 29村
1小区
2小区
3小区
4小区
亀田村   志苔村
深堀村   鷲巣村
下湯川村 銭亀沢村
上湯川村 石崎

亀尾
鍛冶村 桔梗村
神山村 大川村
赤川村 中島村
石川村
一本木村 大野村
千代田村 本郷村
鶴野村   文月村
峠下村 軍川村
市渡村 飯田村
藤山村 七重村
城山村

注 青字は現函館市域の村名

 
 第18大区(渡島茅部郡)1~3小区 17村
1小区
2小区
3小区
小安村   戸井村
尻岸内村 椴法華
村 尾札部
臼尻村 鹿部村
砂原村 掛澗村
尾白内村 森村
鷲木村   落部村
宿野辺村 蛯谷村
石倉村

 
 第19大区(胆振国山越郡)1~2小区 2村
1小区
2小区
山越内村長万部

 
第20大区(胆振国虻田有珠室蘭の3郡)1~6小区 16村と10町
第21大区(胆振国幌別白老勇払千歳の4郡)1~6小区 30村
第22大区(日高国沙流新冠静内三石の4郡)1~7小区 53村
第23大区(日高国浦河様似幌泉の3郡と十勝国広尾当縁最十勝中川河西河東上川の7郡)1~6小区 51村
第24大区(釧路国白糠釧路厚岸川上阿寒足寄網尻の7郡)1~7小区 74村と1町
第25大区(根室国花咲根室野付標津目梨の5郡)1~4小区 22村と10町
第26大区(千島国後振別択捉紗那蘂取の5郡)1~5小区 15村
第27大区(北見国斜里網走常呂紋別の4郡)1~4小区 30村
第28大区(北見国枝幸宗谷礼文利尻の4郡)1~4小区 村落未置
第29大区(天塩国天塩中川上川苫前の4郡)1~4小区 5村(天塩中川上川の3郡は村落未定)
第30大区(天塩国留萌増毛の2郡)1~6小区 10村
『開事』より