函館市/函館市地域史料アーカイブ

函館市史 通説編2

第2巻 第4編 箱館から近代都市函館へ

第2章 開拓使の設置と函館の町政

第2節 統治機関の創設と通信網の近代化

1 警察

 出京していた杉浦判官は5月15日神奈川県庁を訪れ、県令陸奥宗光、大江卓参事らと会っている(杉浦誠「日記」)。神奈川県と東京出張所の往復書簡によると、神奈川県側は杉浦判官に邏卒関係書類を渡したと述べている。帰函した杉浦判官はこの神奈川県の書類をもとに函館邏卒制の整備を進めていたが、護兵隊の維持費用を邏卒と砲兵の経費に転用できることが分かったので、黒田次官を通して8月15日、「函館邏卒編成見込」(内容は表2-6の通りに整理)、「函館邏卒規則」「邏卒心得規則」「邏卒自守条目」を添えて「今般函館表彼我人民保護之為メ邏卒取設被置候様仕度」との伺書を太政官へ提出した(「開公」5506)。
 この伺書を受取った太政官正院は、左院と司法省にこの伺書を示し意見を聴取したが、両方とも「異存無之」(左院…27日回答)、「別慮無之」(司法省…28日回答)と回答して、30日に「伺ノ通」という指令が正院から出た。この間、開拓使は23日と27日の2度にわたって指令を催促する書簡を正院中の史官に送っている。函館へ酒田県士族を送った、黒田次官はかなり性急な気持ちになっていたようである(「開公」5506)。
 なお、札幌の邏卒設置の正院伺は1か月後れの9月15日に提出、3日後の18日に設置が承認されている。
 邏卒設置承認の通知を受けた函館支庁は、9月23日に函館邏卒編成見込に基づき邏卒全員を大中少邏卒に分けて発令替えを行っている。ただ、先に21人を札幌に派遣していたため、この時の函館の邏卒は29人であり、大邏卒に3人、中邏卒に八8人、少邏卒18人体制となった。山内久内は邏卒御用係(官等11等の権中主典)で、その上に先に東京出張所で函館邏卒御用係の発令を受けていた岐阜県士族の9等出仕有竹裕が統括していた。邏卒の屯所も先の仮本営が第1大区の屯所という位置付けとなり、これ以外に西浜町海岸(38番地の4)と地蔵町地蔵堂に分営が設けられ、それぞれ第2大区の屯所、第3大区の屯所(明治6年3月22日の火事で類焼、蓬莱町1番地に仮屯所設置)となった。
 
 表2-6 函館邏卒編成見込一覧
 1 函館市街を3区に分つ
区画割
配置邏卒内訳
第1区大邏卒1人中邏卒4人少邏卒12人17人
第2区大邏卒1人中邏卒4人少邏卒12人17人
第3区大邏卒1人中邏卒4人少邏卒12人17人
合計51人

 
 2 邏卒課官員井月給 総額1,592.16円
等級
職名
人数
月給
増手当
9等総長心得1人 50円3.50円
11等権検官1302.10
13等権区長1201.40
15等3等権区長 2120.84

 
 3 邏卒月給 総額5,392.80円
邏卒
人数
月給
増手当
大邏卒3人10円0.70円
中邏卒128.5 0.595
少邏卒368.0 0.560

 
 4 その他の経費(1か年分) 総額6,357.30円
費目
金額
備考
屯所諸雑費

612.00
邏卒1人(51人分)に付1か月1円
屯所使役夫雇賃
388.80
屯所3か所で各2人 1日1人に付18銭
邏卒防寒手当
331.50
人に付6円50銭
旅費営繕医薬
720.00
1か月60円の見込
邏卒賞典
255.00
1人に付5円
仮屯所取建費
600.00
屯所3か所 1か所200円の見込
市街点灯
750.00
150基取建 1基5円見込 民費の予定
点灯用石炭油
2700.00
1基1夜1合の見込 1合5銭 民費の予定
総計
6357.30

 
 総合計13,342.26円 内1か年官費定額は9,292.26円

箱館邏卒屯所の図 邏卒・鹿島調一郎筆