函館市/函館市地域史料アーカイブ

函館市史 通説編1

通説編第1巻 第3編 古代・中世・近世

第3章 幕府直轄下の箱館

第4節 箱館の町行政

 町役所には、町年寄名主は毎日出勤し、町代は用事のある時だけ出勤して事務を処理した。その事務の大略はすでに述べたところであるが、なお左に主要なものを掲げれば次の通りである。
 
一 法令の伝達 奉行所から布告される諸規則は、町役所から町代町代から組合頭に下付し、毎戸に示達する。町役所から発する触書もまた同じである。
一 願届の進達 住民から官に提出する願届は、その町の町代名主が連印し、町年寄が奥印する。事件によっては町年寄は奥印せず、副書をする事がある。
一 宗門人別調 10月上旬人別下改と称し、町代町役所に出勤し、下調帳(1人1枚とする)を作り本人に交付する。この時出生死亡結婚等の異動を加除し、その半面に四半敷人別銭筆墨紙料祭礼銭の額を書いて本人に交付すれば本人はこれを檀那寺に持参し、寺受証(俗に寺判という)を受け、本人がこれに捺印し、四半敷人別銭等を添えて町代に差出す。同月中旬人別改と称し、町割をもって順次1人ずつ奉行所に呼出し、家族、人名等を読聞かせ寺判を受ける。かくて下調帳は町代が丁寧にこの浄書に取掛り、数十日かかって整理したという。
一 百姓入手続 他国より聟嫁縁組の熟議が整い、その地の人別を除き、箱館の人別に加わりたい旨、身元引請人、町代及び名主の連印をもって出願する時は、町年寄において調査の上奥印をして官に進達し、その許可を得て始めて入籍の手続をする。当時又移住の制を寛(ゆるや)かにし、寄留5か年に及ぶものは百姓入を許すが、その手続もまた前に同じである。すべて百姓入の際には町年寄名主町代へ各々判銭を贈るものとする。
一 旅人改め 旅人改めは従前から行ったが、無宿の者等が増加するので、享和3年官命により毎月1回ずつ検査する事とした。また、取締りのため旅人に鑑札を渡し、鑑札料150文を徴する。鑑札のない者はこれを雇入れる事を禁ずる。旅人の生国年齢宗旨等はこれを調査し、台帳に記入しておく。
一 出稼廻り鑑札 箱館在籍者で、場所へ出稼をする者は、名主から鑑札を与える。これを廻り判という。
一 地所売買 地所売買の場合は本人、親戚、5人組合、町代が連印して出願する。町役人は本人及び親戚を召喚して説論を加え、やむを得ない事情のある者は裏書きをして下付する。この時町年寄名主町代に樽代を納める。地所に関しては町役所に沽券台帳を備えて置き、異動あるごとにこれを加除する。他国の者には一切土地の売買を許さない。
一 駅逓事務 この事務は、おもに名主の担任で、人馬を準備し、差支えないようにする。助郷と称して近村からも人馬を出した。
一 道路その他の工事 道路の修繕には臨時人夫を割当てて出役させた。その他公共の工事もまた同様である。時としては寄付をもってすることがある。
一 家屋新築の検分 住民が家屋を建築する場合は、先ず土台を据えるに当り町役所に届出させ、町役人並びに隣家の者が立会い、間口等を検査し、両隣雨落定法1尺5寸ずつ除いて土台を据付けさせる。
一 民事訴訟の勧解 金銭の貸借又は地所等に関し、紛議を生じたときは、原告被告を町役所に呼出して勧解し、なるべく官に願出ないようにさせ、やむを得ない者に限り官の裁決を仰がせる。
一 篤行者・高齢者・窮民の具申 孝子・貞婦その他奇特の行いがある者は官に具申して褒賞を請い、80歳以上の老人及び鰥寡孤独は具状して賑恤を請う。
一 官米の借用 冬、春米穀の供給が不足して、住民が官米借用を出願する場合、並びにその代価を返納する場合は、共に皆町役所の手を経るものとする。
一 租税の事務 租税は大体沖ノ口番所及び地方収納役所において取立てるが、家役(1戸につき昆布1駄から13駄半迄)四半敷(薪税で1戸につき銭300文)のようなものは町役所において取立て上納し、又糀役豆腐役五十集(いさば)役は地方収納所元〆各店検分の際、名主が同道して決定する。
一 諸営業の取締 市中営業者の多くは同類の者が組合を結び、各自取締をしたが、奉行所及び町会所は、なお其上にあって取締をし、かつ大工賃銭、髪結料、風呂銭、旅籠銭、及び豆腐の価はみだりに価格変更を許さず、出願を待って、町役所で詮議の上出願を許可し、市中に徇示するのを例とした。(『函館区史』)