札幌市中央図書館/新札幌市史デジタルアーカイブ

新札幌市史 第7巻 史料編2

三 土地

 この項では、「二 札幌市街と周辺村落の形成」を受けて、それを促進し確実にする土地制度に関する史料を集めたものである。
 当時札幌の土地制度としては、新たに設けられた土地私有権の確立と共に、その基礎をなす事実が明確でないために無主地(山林原野)と見なされた土地に私有権を設定する問題があった。土地私有権確立の動機は税制の改正にあり、その陰に課税問題がともなったことはいうまでもない。
 それらの土地に関する史料群は、規則類をはじめ、検地野帳、耕宅地明細帳、地券録、地価創定請書、地価等級表、地税表、払下・貸下願書、土地連絡図など、刊本・簿冊・絵図面などの形態で残り、その量は膨大なものになっている。ここでは、それらの中から主要な史料を選択し、便宜上、一、払下関係諸規則、二、払下手続・地券発行等、三、地租創定事業、四、官有地・官林の四項目に分類し、かつ年代順に配列した。
 
 〔一 払下関係諸規則〕土地の私有権が設定され、土地所有関係が生まれてきた過程の主要な規則類である。件名番号一は永住人の宅地を沽券地、耕地を所有地と認める布達である。二はこれにもとづき札幌本庁管内一戸に付き十万坪に限り、地代上納後沽券地とする布達である。それが明治五年の三、四の永住人寄留人を問わず私有地として地券を下付し、地租を課すという規則により、私有権が確立したのである。五は札幌市在の官員より一般にいたるまで本庁を中心とした一里四方以内土地割渡しの規則であり、六は五をふまえた札幌市中私有地規則で、一戸に付き間口五間奥行二十七間の標準区画を示している。七は移住農民保護策として、挙家移民に対し三年以内墾成地の無代価下付を規定したものである。八、九は北海道の土地処分に一大改革をもたらした規則で、払下限度の特例、即売制度の廃止などを規定した。一〇は八、九が充分な効果を挙げえなかったため、これに代わるものとして制定、成功後の無償下付、払下限度の拡大などを規定したものである。
 
 〔二 払下手続・地券発行等〕払下諸規則等をふまえて実際の土地割渡・払下手続から地券発行、さらには売買、小作・柢当地の発生までである。一一、一四、一五、一八、一九は官側の土地割渡・払下の具体的対応を示したものであり、一二、一六、二〇、二二、二八は地券発行にともなって土地の等級を示したものである。最初町村・地域ごとの等級価格であったものが、時々の等級を査定した変動価格へと移行したと思われるのが二九、三〇の売買・貸地料である。一三、二一、二四は地券発行の準備段階として実際の居住者、耕作者を明確化しようと努めたもので、二四の耕宅地明細は二一の布達によって編まれた。一七は四にもとづく地券発行のため、周辺村落の検地を行う官員派遣にあたっての村役人への心得である。これにより道文書館所蔵「札幌村外一一ケ村検地野帳」(史料編一)が編まれた。二三は地券発行にあたり、庁下市街村落のそれぞれの境界を明確にすることを達したものである。二五は明治十年中に収租対象となる札幌郡十三か村以下の地券発行手続についての伺いである。二六は北海道全土に地価等級を定め、地租を課すといった地租創定事業の基本条例、二七は拝借地のまま放置された土地処分案である。また三一、三二は出奔などによって荒蕪に帰した土地、あるいは小作・抵当地への転換状況を示している。三三、三四は明治二十六年北海道土地払下規則施行手続改正により、貸下区画地に編入なった札幌郡の対象町村および原野名、三五は土地払下・貸下願書の実例として、豊平・札幌・白石・月寒の四か村の場合を掲げた。
 
 〔三 地租創定事業〕開拓使が取り組んだ土地に対するもっとも大きな事業の一つが、府県の地租改正に対応するこの事業である。三六~三八は北海道の土地に対する収税に関する規則、手続、三九は明治十年に着手され、十一・十二年にほぼ完了する地租創定事業の所産「地価創定請書」で、札幌市域に関しては山鼻、琴似二村を欠く三十七町村が三冊の簿冊に収められ、道文書館に保存されている。請書は、地券発行の過程で一町村単位、一筆ごとに地積丈量、地価等級、地価創定を行い、それに対する持主側の連印請書を綴った簿冊である。当該凡例にも記したが、全町村を原形の姿で掲載することは膨大な紙数を要することになるので、ここでは数表化して收めた。なお、請書を欠く琴似、山鼻二村については「札幌県治類典」中の地券状受取証を参考に掲げた。書式上不統一不備な部分は、多少調整した。四〇は地租の徴収期限を示している。四一は春秋二季のみの地租創定作業は進捗せず、さらに失踪跡地の荒蕪地問題もあって錯雑をきわめた状況を語っている。
 
 〔四 官有地・官林〕官有地・官林の設定から、払下・貸下に関するものである。四二~四五は官林の設定から官・公・私林の区別がなされていく過程を語る。四六は民有地の官用地への転換を示し、四七は官有地の売下・貸下を規定している。四八、四九は札幌区市街と村々の官有地明細である。また五〇は周辺村落形成の大きな担い手となった屯田兵の官有地的色彩の濃い土地給与規則である。五一~五四は官林・御料林が解除され、貸下、官有地へ編入されたことを示している。