札幌市中央図書館/新札幌市史デジタルアーカイブ

新札幌市史 第5巻 通史5下

第十編 現代の札幌

第十章 現代の宗教

第四節 現代の民間信仰

一 水子と愛玩動物の供養

 現代はストレス社会であるといわれている。ペットに癒しを求める人も少なくないだろう。逆に自分の子どもをペットのように扱い、言うことをきかなければ殴ったり捨てたりする親も増えている。ペットを通して飼主の家族も見えてくるのである。
 金魚、ハムスター、カナリヤ、猫、犬と、子どもの成長にあわせて種々のペットを飼った経験を持つ人も少なくないだろう。逆に、飼育が面倒だからペットを飼うことを躊躇(ちゅうちょ)するという人もいるだろう。しかし、問題は死んでしまった後、情が移ってしまったペットをどう処理するかである。家族同然に暮らしてきたペットを、生ゴミと一緒に焼却処分するのはあまりにも忍びない。そこに動物霊園が必要とされる理由がある。
 インターネットで検索すると、札幌市内だけで二〇社ほどの動物霊園がある(表9参照)。その中の一つ、経王寺(日蓮宗、豊平区豊平四条三丁目)境内にある「北海道動物霊園」(写真8参照)を訪ねた。昭和五十三年八月に前住職の発案によって開設した霊園だが、当時は市内に数えるほどしかなかった。初めは犬や猫の供養が中心だったが、最近ではペットブームに乗ってイグアナ、モモンガ、兎、ハムスター、亀など、供養する動物も多様化している。供養を依頼してくる飼主は、ペットというより自分の子どものように思っているので、応対も丁寧に心がけているという。
表-9 札幌市内の動物霊園
霊園名所在地
ファミィヒル中央区南6条西9丁目
愛ペット動物霊園本部南区南沢6条3丁目(洞源寺境内)
メモリアルパーク南区滝野2番地2(現地)豊平区西岡4条7丁目1-40
石狩動物園ペット霊園北区新琴似5条7-6-13
ペットの葬儀屋さん「天心アルプ」北区屯田1-1
ペット動物霊園東営業所東区北35条東2丁目
札幌動物ペット霊園東区北32条東1丁目よしのビル1F
北海道ペット火葬センター東区北24条東16丁目1-20
札幌西岡動物ペット霊園白石区栄通9-1-16
ペット供養院札幌(本院)厚別区もみじ台南2丁目
愛ペット動物霊園西営業所西区八軒10条西13丁目
ペットエンゼル札幌西区発寒6条9丁目9-30
ペット供養院(西分院)西区西町10丁目
ペット霊園滝野メモリアルパーク豊平区福住一条6-4-23-1
ポチ・タマ愛センター札幌市清田区清田3条3丁目1-36
北海道動物霊園豊平区豊平4条3丁目1-25経王寺境内
北海道情報サービスのホームページから一部転載。
表中の霊園には「霊園事務所」を含む。


写真-8 北海道動物霊園の萬霊塔

 当霊園が他と違うのは、人間と同様、動物の供養に仏教寺院が関与していることである。依頼があればお迎えもするし、読経もする。火葬、お骨ひろい、納骨と一連の葬儀供養の後、初七日、三十五日、四十九日、百カ日、一周忌、三回忌などの法要を勤めるが、中には二十七回忌まで懇(ねんご)ろに弔(とむら)うことを希望する飼主もいる。その他、祥月命日や彼岸・盆の供養も受け付けている。納骨堂には、ペットと飼主の名前を刻んだ墓碑、写真、ぬいぐるみ、千羽鶴などが飾られ、時おり花を手向(たむ)ける人の姿もあった。
 人間と異なるのは戒名や位牌がないことだが、だからといって決してぞんざいに扱っている訳ではない。永代供養の形式をとっており、特に寺院が管理している場合には、確実に御霊の供養をしてくれるという期待や安心もある。人間の場合も永代供養を希望するケースが増えているが、その背景には、子どものいない夫婦や生涯結婚しない単身者の増加により、先祖代々受け継いできた墳墓の継承が困難になってきたという事情がある。
 人間の都合で実の親や兄弟姉妹と離れ離れに暮らすことになったペットにとって、飼主だけが頼りである。「かわいい」だけでペットを飼うことはできない。家族の一員としてペットを迎える以上、それなりの覚悟が必要である。人間の都合でペットを捨てたり、虐待したりするケースも後をたたないが、飼主は「しつけ」だけではなくペットを失った時のことも考える必要がある。