札幌市中央図書館/新札幌市史デジタルアーカイブ

新札幌市史 第5巻 通史5下

第十編 現代の札幌

第六章 社会状況の変化と新たな運動の展開

第七節 アイヌ民族の諸権利の回復を求めて

一 北海道ウタリ協会札幌支部結成から「民族の復権」へ

 四十八年一月二十一日、札幌市内で「全国アイヌ語る会」が初めて開催された。札幌在住のアイヌ民族による実行委員会(砂沢ビッキ代表)が「アイヌウタリが地域や組織を越えて話し合い、われわれの主体的な姿勢を確立していこう」と全国に呼びかけたもので、道内は札幌、千歳、恵庭、白老、静内、平取、浦河、小樽、釧路、白糠、帯広、幕別、旭川から、道外は東北、東京から合わせて一五〇人が参加、さらにアイヌ問題に関心を持つ「和人」も加わって二〇〇人余りが討論を重ねた。①ウタリ実態調査をどう受けとめるか、②子供の疑問に対する親の立場、③アイヌと観光問題、④旧土人保護法問題について、の四テーマについて話し合った。各地域から生々しい体験が報告されたり、保護法の問題においては、補償の足がかりとして「残存」、差別の根本だから「廃止」、の活発な討論となった。ウタリの結束・統合を互いに確認し合い、「民族の復権」を訴える新勢力が誕生するきざしを見せた(道新 昭48・1・22)。また、三月三日には、「アイヌ解放の夕べ」(結城庄司代表)も札幌で開催されるなど、アイヌ民族問題を巡って熱い討論がなされた(道新 昭48・3・4)。道のウタリ福祉対策費も前年度の五倍の予算が計上されるなど、これまでになかった新規事業がいくつか顔を出し始めた(同前)。
 そのような機運の中、札幌でアイヌ民族の若者たちによる月刊新聞『アヌタリアイヌ―我ら人間』(アヌタリアイヌ刊行会)が、「アイヌとは何か、自分がアイヌであるとはどういうことか、自分たち自身でアイヌ問題を考え解決の手がかりをつかんでいこう」といった目的で、四十八年六月に発刊開始、民族の将来の問題をえぐり始めようと意欲的であったが、五十一年三月終刊した。