第十編 現代の札幌
第六章 社会状況の変化と新たな運動の展開
第二節 高度成長期以降の労働運動
一 経済闘争とスト権奪還、反合理化闘争
スト権ストさなかの昭和五十年十二月一日、札幌では、年末交渉中の札幌市労連が市の人件費抑制提案に反発してスト権ストへの「上乗せスト」を宣言し、公労協ストが解除された十二月四日、午前半日の独自スト決行で「福祉施設、火葬場を除き、市の業務は半身不随となり」、「市議会にも抗議電話が殺到」するなど市内の交通網が二日連続で混乱状態となった(道新 昭50・12・4)。また、「上乗せスト」翌日の十二月五日、道の人件費削減案で交渉中の全道庁・北教組・道高教組・自治労道本部の地公四者が、午前半日(高教組は午後二時間)ストに入った(道新 昭50・12・6)。ついで同月十日、公立学校「主任制度化」に反対する北教組が日教組全国一斉ストに呼応して午後から半日ストを実施し、札幌支部(札教組)の参加者は大通広場での抗議集会後、道教委・市教委に抗議デモを繰り広げた(道新 昭50・12・10夕)。一方、道の人件費削減案撤回交渉は翌五十一年に引き継がれ、二月には白紙撤回を求める北教組や全道庁が午前半日ストを強行し、札教組の組合員三〇〇〇人は市中デモ、全道庁札幌総支部四〇〇〇人は三会場で気勢を上げ(道新 昭51・2・20夕)、同年春闘でも「交通ゼネスト」や「地域統一スト」に呼応して時限ストを連発するなど、官公庁・公立学校組合の争議が激化した。
学校主任制反対闘争では、交渉を打ち切った道教委に抗議する組合員を警官隊が排除したことから、北教組が五月十九日全日ストを強行したのに対し、道警が六月、全道の組合事務所などを一斉に捜索し、札幌では苗穂小学校(分会)にも家宅捜索が入った(道新 昭51・6・5夕)。人件費抑制に反対する札幌市労連も同年六月十四日、一四年振りに午前半日「お祭りスト」を強行し、札幌市は、スト権スト以降の数を上回る二七四人に処分を通告した(道新 昭51・8・2)。北教組は、同年十一月にも主任制反対半日ストを実施するなど、五十一年道内の争議件数六五一件のうち国公営組合が三八二件を占め、参加人員では民間組合の一〇倍以上に達した(表12)。
五十二年以降、官公労組合員に対する行政処分が数次にわたり行われたが、五十三年にも北教組が二度の半日ストを行うなど、道内の半日以上のストライキ参加人員が一〇万人を超えた。同年の争議発生数四五四件のうち「その他」(政治スト及び同情スト)が「賃金及び手当」を大きく上回り、札幌市を含む石狩管内でも、五十三年の争議件数九五件のうち国公営組合が五〇件、「政治スト及び同情スト」四九件、半日以上のスト三七件(参加人員二万一八六〇人)などとなっている(商工労働概況)。その後も、道の人件費削減反対や学校主任制反対に加えて、五十五年には道庁の大幅な機構改革や国鉄の赤字路線廃止問題が浮上し、また公務員二法(六〇歳定年制・退職手当減額)反対闘争(昭55~56年)などの政治ストも組織された。しかし、世論の反発やたび重なる行政処分などの影響を受け、官公労争議では、次第に半日未満の時限ストや、賃金カットの対象とならない職場集会などが大勢を占めるようになった。 |