札幌市中央図書館/新札幌市史デジタルアーカイブ

新札幌市史 第5巻 通史5上

第九編 大都市への成長

第九章 市民の文化と活動

第一節 文学

一 散文、総合誌、職場文芸

 戦争中は、言論統制で発表の場を失われていた言論界は、敗戦後にすばやい復活をみせる。札幌での最初の雑誌『北方風物』は昭和二十一年一月に創刊号を出した。更科源蔵主宰の月刊随筆雑誌で北海道出身の作家や道内文化人が執筆し二十二年三月まで一五冊を刊行した。表紙絵は武者小路実篤、川上澄生上野山清貢、高村光太郎などに依頼し、執筆人に柳田国男、室生犀星、斎藤茂吉、伊藤整、堀辰雄などの名前がある。編集兼発行人は札幌の古書店、尚古堂の代田茂であった。

写真-1 『北方風物

 『大道』の創刊は二十一年二月である。編集兼発行人は石川悦郎青玄社(札幌)発行、二十二年二月まで九冊を出した。顧問は当時北大低温科学研究所長の小熊捍で毎号寄稿している。執筆者は犬飼哲夫小田観螢長谷部虎杖子山内壮夫伊藤整伊福部昭らの道内関係者のほか白鳥省吾、百田宗治、林富士馬、古谷綱武も寄稿した。小説では佐藤喜一木村不二男石塚喜久三船山馨水上勉などが作品を発表している。この二誌は戦前に活躍した人を起用したものであるが、戦後の札幌言論界に刺激を与える役割を果たした。