札幌市中央図書館/新札幌市史デジタルアーカイブ

新札幌市史 第5巻 通史5上

第九編 大都市への成長

第八章 教育の民主化

第三節 戦後教育の岐路と地域の教育問題

一 教育政策の「転換」

 昭和三十年代は、札幌市にとっては合併の時代でもあった。三十年には、琴似町・札幌村・篠路村の三町村と一挙に合併している。合併の経緯などについては第一章第二節に委ねるが、ここでは合併する町村側が合併条件として教育面をどれだけ重視したかを、札幌村を事例としてみてみる。
 札幌村が札幌市合併への動きを開始したのは二十七年であり、村議会で「地域変更調査特別委員会」が設置された。一方札幌市でも同年に「境界変更調査特別委員会」が設置され、二十八年に札幌村などを市に編入すべきとの結論が市議会で議決された。二十九年八月には札幌村の委員会が合併すべしとの報告を出し、合併への姿勢は明確になった。同年九月二十九日、議会は村長に対して三四項目の合併条件を提示した。そのうち、教育に関する項目は八項目におよんでいる(広報さっぽろむら 昭29・10・1)。村ではこれらの条件を、絶対的条件一九と要望事項八にまとめ、札幌市へ提示した。教育関係は、「3 教育委員はその任期中専門委員として存置すること。9 札幌村文教施設整備計画の完全実施を促進すること。10 小・中学校需用費及び営繕費の配当は学級数生徒児童数等に比例する昭和二十九年度を下回らぬ額を維持すること」の三点に集約された。文教施設整備計画は「一、校舎の増改築について 二、校地の拡張について 三、各学校教員住宅の設置について 四、公認和洋裁学校の設備について 五、公民館の設置について」の内容を持っていた(同前 昭29・11・1)。札幌市側からは基本的方針が提示され、札幌村からの照会、そして市からの回答が示された。最終的な併合条件のうち、教育に関する予算関係は次のとおりである。
十二、1、札幌村文教施設整備計画の完全実施を促進すること。…等村の条件に対する市の方針は、併合後における札幌村地区の学校、道路等その他あらゆる臨時事業につき、旧市域と均衡を得た施設をなし、些かも差別的な措置をしない(註この表現は札幌村地区の有利に解釈すること)この場合、札幌村地区における臨時事業のために支出する経費は、札幌村が昭和二十九年度において財政上無理なく執行し得べかりし臨時事業の総額から、土地売払い代金等の如き一時的財源を控除した額を下回らないものとする。而して併合に伴い実質的に節減し得る行政費は、これを主として臨時事業に振り当てるものとする。
十三、1、小、中学校需用費及び営繕予算の配当は学級数、生徒児童数等に比例する昭和二十九年度を下回らぬ額を維持すること。
   2、保育所の施設を公認助成すること。…等村が経常的に継続して施行しつつあるものについては併合後も引続きこれを施行し、且つその経費の最低限度はこれを保障する。
(同前 昭30・1・1)

 これをみると、札幌市では、札幌村がもし合併しなかった場合になされる財政的措置と同額の措置を行うとしている。札幌村と札幌市の合併は三十年三月一日をもって行われた。