札幌市中央図書館/新札幌市史デジタルアーカイブ

新札幌市史 第5巻 通史5上

第九編 大都市への成長

第七章 高度成長期の市民生活と社会運動の展開

第二節 労働運動の高揚と組織の拡大

二 高度経済成長下の労働運動

 失業者が短期間で安定的職場に復帰することを目的として昭和二十四年から始まった「緊急失業対策法」による失業対策事業は、賃金も民間標準賃金より低めに設定されたことや、経済復興の兆しなどによって市内登録人員は二十六年末で一一〇〇人程度に減少したが、二十八年後半から増加に転じ、市は同年十一月、所管を福祉事務所から分離し失業対策委員会事務局を設置した(昭28事務)。二十七年末の有給休暇や越年資金要求以降、各地の自由労組を糾合した全日土建労組が同年十月に全日自労と改称し、運動を強化していたことも背景にある。特別措置の名目で夏季手当支給が二十七年から始まり、二十八年から日雇労働者健康保険法が制定実施され、国の特別措置に加えて市独自の夏季・冬季加給金(市長贈与金)など、基本賃金以外の各種待遇改善が次第に進む中で、三十五年末の札幌職安登録者数は三〇〇〇人を超え最高を記録した(昭36統計書)。この間の三十年十二月、市の所管は建設部(のち建設局)に移ったが、三十年代に入ると一般労働力需要が急速に高まる一方で、失業対策事業が再就職までの労働力「保全」よりも「定職」の色彩が全国的に濃くなり(失業対策事業二十年史)、長期登録者や女性、中高齢者の比率が著しく上昇した。三十六年度以降の転職促進訓練や就職支度金の支給に加え、三十七年度からは新規希望者の健康診断開始など登録制限も強化され、三十八年には中高齢者の就職促進制度ができた。これに反対する全日自労によって、「失対流入闘争」などが展開されたが、札幌市の男性登録者数も急速に減少し(表8)、高齢者と女性の固定化現象が目立ち、就職による流出もほとんどなくなった。
表-8 日雇求職総延数及び年末有効求職者数の推移
(札幌公共職業安定所管内)

種別

年次
求職総延数各年末有効求職者数
総数総数
昭36611,903406,550205,3532,2361,509727
 37591,675394,642197,0331,9811,333648
 38501,578321,892179,6861,5761,016560
 39403,589248,238155,3511,328811517
 40357,553216,110141,4431,203719484
 41318,499186,153132,3461,084631453
 42292,854166,639126,215989554435
 43279,432153,353126,079928507421
 44266,496142,605123,891889475414
 45242,496124,715117,781792405387
 46219,236108,582110,654614284330
 47178,60581,66496,941583264319
『札幌市統計書』各年より作成。

 四十一年度から一般土木工事や屋外運搬作業と別に、高齢者や病弱者、女性などのための軽作業現場や屋内作業場(第三種工事)の設置で賃金高低差も大きくなったが、四十三年には全国的にも平均年齢が五五歳、六〇歳以上の高齢者三五パーセント、女性五三パーセントなどとなり、四十六年十月「中高年齢者等の雇用促進に関する特別措置法」施行を機に段階的廃止の方針がうち出された(同前)。四十六年には、札幌市でも男女別比率が逆転し、事業内容も一般土木事業や道路・公園・緑地補修などはさらに減少した。市は屋内作業場を随時増設し(昭51七カ所)、道路標識や表示板、塵芥袋・紙袋類の製作、園芸栽培や清掃作業など第三種工事の比率が高くなった(北海道各市失業対策事業の概況)。