札幌市中央図書館/新札幌市史デジタルアーカイブ

新札幌市史 第5巻 通史5上

第九編 大都市への成長

第六章 戦後の市民生活と社会運動の展開

第三節 戦後労働組合の結成と運動の台頭

二 労働争議の発生と運動の展開

 明けて二十一年一月九日、手稲鉱山労組から鉱業所長宛に、「何卒終始の事情御参酌の上御寛容賜度別紙嘆願事項相添え此段嘆願に及候」という産報時代を思わせる一五項目の「嘆願書」が提出され、会社側は十七日、賃上げを受諾した(資料北海道労働運動史)。この間の一月十四日、「妻帯者でも日給二円二十銭程度」と、賃金が炭鉱・鉱山に比べ著しく低い水準の朝日スレート札幌工場で、従業員四〇人が八時間労働制、賃金五〇割値上げ、家族手当支給、生活資金五〇円無利子貸与など七項目の要求を工場長に提出し(道新 昭21・1・19)、同月二十八日、資材・資金難に悩む零細工場の金子鉄工場従組(四〇人)も、戦後解職した従業員の復職や大幅賃上げ等の要求書を提出した(道新 昭21・2・16)。同日、結成して間もない札幌市交通労組も、本俸五倍値上げなど、八項目の要求書を上原市長に提出して第一回目の交渉に入った。
 昭和二十及び二十一年度の札幌市内における争議件数二〇件の内訳は、賃金の大幅引き上げや物価手当・「飢餓突破資金」等の臨時給与、貸付金(買い出し資金)要求が中心である(表21)。二月五日、帝繊札幌従組は賃金三倍値上げに先立ち一人五〇〇円から一五〇〇円の飢餓突破資金を獲得し(道新 昭21・2・6)、二月九日、札幌市交通労組は三六割値上げ相当の諸手当支給で妥結したが、金子鉄工場従組は七日、札幌市内で最初の組合による生産管理に入り(道新 昭21・2・16)、また道新従組も二月十六日、営業・工務部門も加えた組合臨時大会で、収入三倍増に加えて全重役総退陣要求を決議するなど(道新 昭21・2・17)、札幌の民間、官業労働組合による待遇改善要求運動も次第に激しさと複雑な様相を深めていった。
表-21 札幌市における要求事項別労働争議状況(昭和20年―27年)

区分


年度
争議発生数要求事項別争議件数及び参加人員
争議件数争議参加人員労働賃金臨時給与整理解雇その他
件数参加数件数参加数件数参加数件数参加数
昭2025701701500
 21183,64081,307145435351,935
 2253,64253,642
 23268,071143,101124,970
 24156,87562,17811,53411173,152
 2592,258217821,52642261328
 26236,172216,0102162
 27202,604111,77331716660
『札幌市統計書』昭和34度版より作成(資料出所は北海道石狩支庁労政課)。
1.1件の労働争議で2つ以上の要求事項がある場合は主たる事項により集計。
2.年度別統計であるが,25年の数値のみ12月末までの集計。