第九編 大都市への成長
第五章 高度成長期の産業発展
第八節 農業
一 高度成長期の農業(農業振興策)
農業協同組合をはじめ多数の農業団体が存在するが、それらについて本格的に論ずることは下巻に譲り、ここでは二、三の事柄を述べるにとどめたい。
まず、農業協同組合の概要について。昭和二十二年十一月、農業生産の増進と農家の経済的、社会的地位の向上を図るとともに、国の健全な経済の発展に寄与することを目的として、農業協同組合法が制定された。札幌市ではその翌年に農業協同組合の大半が設立され、第一次大型合併直前の四十三年一月現在、総合農協一三、専門農協八、開拓農協六、合計二七農協が農業者の中核的組織として活動していた(表68)。
次に、市内農協の第一次大型合併について。合併に関わる基本的な出来事を羅列すれば、 昭和四十 年八月 札幌市農協合併促進協議会発足 四十一年十月 農林部内に農協合併促進課設置 四十三年五月 合併予備契約調印 四十三年九月 各農協代表者会議で最終決定 こうして、昭和四十三年十月、札幌市農協・藻岩農協・白石農協・琴似町農協・西豊平農協・平岸農協・手稲町農協・上手稲農協・軽川酪農協・篠路玉葱農協・札幌地区青果物農協・札幌青果物生産販売農協の一二農協が合併して、正組合員二九〇五人、準組合員一一四六人という、道内では、ずば抜けて大規模な超マンモス組織となった札幌市農業協同組合が誕生した(札幌市農協三十年のあゆみ、札幌市の農業 各年を参照)。 さらに、農業団体に対する育成指導について。『事務概況』によれば、三十四年に農業団体などの育成指導という項目が登場するが(もちろん、これ以前にも同様な事柄はあった)、これ以降、農業団体などの育成指導は札幌市の農業振興策の柱の一つとなった。具体的には、各農業団体の運営費などに対して補助や融資が行なわれたが、濃淡の差こそあれ、市内の全ての農業団体が対象とされた。 |