札幌市中央図書館/新札幌市史デジタルアーカイブ

新札幌市史 第5巻 通史5上

第九編 大都市への成長

第五章 高度成長期の産業発展

第八節 農業

一 高度成長期の農業(農業振興策)

 園芸農業の振興策として、まず以前の時期からの継続事業が二つあった。モデル農園事業は、昭和三十年に名称を試験展示圃事業に変更し、三十六年まで続いて終結した。優良採種圃事業も同じ年にひとまず終結したが、こちらの方は、翌三十七年以降に主要農作物(米)採種事業、および園芸作物採種事業として、中味を変えて存続することになった。後者の事業の対象とされたのは玉ねぎ・人参・チューリップ・ダリアなどであった。表62はこれら事業の概要を示したものである。
表-62 主要農作物採種事業,および園芸作物採種事業の概要
(単位:千円,a)
年度水稲園芸作物
補助額面積補助額面積
昭3725035012545
 38
 39343118
 4027175
 4114038
 4214038
 4314035
 443008514030
『札幌市事務概況』各年による。

 [蔬菜関係] 園芸施設設置費補助は、都市農業に適した、園芸施設を利用した蔬菜の不時、促成、抑制栽培を行うことにより、農業経営の改善を図ろうとしたもので、温室・ビニールハウス・ビニールトンネルの設置を奨励し、これに対して補助金を交付した。
 青果物集荷貯蔵施設設置費貸付は、園芸作物を農業協同組合を通じて一元集荷を行い、流通調整を図るべく、各農協が集荷と貯蔵のための倉庫を建設する際に資金を貸付したものであり、青果物集出荷トラック購入費補助は、同一の目的で各農協がトラックを購入する際に補助金を交付したものである。
 野菜生産出荷近代化事業は、昭和四十一年七月に制定された、野菜の基本法といわれる野菜生産出荷安定法(一般に野菜指定産地制度と呼ばれた)にもとづく事業であり、玉ねぎ主産地における生産や出荷の近代化を進める事業に対して補助を行うというものであった。本市においては、利用組合がトラクター・移植機・集出荷用機械(自動梱包機)・コンテナなど農業用機械を購入したり、集荷貯蔵施設を建設する際に補助金を交付した。
 表63はこれらの振興策の概要を示したものであるが、以上の他に蔬菜計画生産出荷事業(昭39・40)、主要蔬菜生産費調査(昭39~45)、園芸農業先進地長期研修派遣事業(昭41)、園芸作物圃場管理共励会(昭41~)などの振興策が実施された。
表-63 園芸農業(蔬菜関係)に対する振興策(単位:千円,a)
年度園芸施設設置費補助青果物集荷貯蔵施設設置費貸付青果物用卜ラック購入費補助野菜出産出荷近代化事業
補助額棟数面積補助額棟数補助額台数補助額
昭3625012
 379092510,00013002
 383,20074
 393,000153008,0009604
 402,0003046,0009604
 416,0001346,0009604
 427,0004251,48514802
 4310,5006865,000124019,403
 443,50024115,771
 4515,476
 469,499
『札幌市事務概況』各年による。

 [果樹関係] 果樹苗木購入費補助は、果実の増産を図り、果樹経営安定を期すために苗木の購入に対して補助金を交付したものであり、対象とされた作目はりんご・ぶどう・さくらんぼ・なし・梅などであった。
 果樹栽培機械購入費補助は、同一の目的で各農協が圃場整備や効果的な肥培を行うためのローターベーター、および防除用のスピードスプレヤーを購入する際に補助金を交付した。
 表64はこれらの振興策の概要を示したものであるが、以上の他に果樹病害虫防除消石灰散布事業補助(昭36・37)、母樹防疫検査(昭39・40)、モニリア病調査(同前)などの振興策が実施された。
表-64 園芸農業(果樹関係および花き関係)に対する振興策
(補助費の単位:千円)
年度果樹苗木購入費補助果樹栽培機械購入費補助花き球根用施設設置費補助花き栽培機械購入費補助
補助費本数補助費台数補助費棟数補助費台数
昭361508,6399002301
 371755,0003001
 38190
 391005,41653931806401
 40
 4110040012401
『札幌市事務概況』各年による。

 [花き関係] チューリップ球根増殖資金貸付は、三十年代中頃まで花き園芸の中心的作目であった、チューリップ球根増殖資金を札幌市花き園芸協会に貸付したものであり、『事務概況』によれば昭和三十二年(不明)、三十三年(一四万円)、三十五年(六四万円)であった。
 花き球根用施設設置費補助、および花き栽培用機械購入費補助は、札幌市花き球根生産組合などが球根乾燥施設や貯蔵庫を設置したり、花き球根選別機を購入する際に補助金を交付したものである。
 表64はこれらの振興策の概要を示したものであるが、以上の他に消流実態調査(昭39)、防疫検査(昭39・40)、生産費調査(昭42)などの振興策が実施された。